『プロテウスの恋』

Les Amours de Protêe

台本/ジョゼフ・ド・ラ・フォン
音楽/シャルル=ユベール・ジェルヴェ
ジャンル/オペラ=バレ
初演/1720年
再演/1728年

解説

オウィディウスの『変身物語』から主題を借用したものである。初演から大成功を博し、翌年の4月まで38回も上演された。
上記のように、オペラ座での再演は28年だけだが、31年には王妃の前で歌われたし、39年と43年にはリールで、42年にはリヨンで上演されている。添付の台本は42年にリヨンで上演された時に出版されたものである。
ジェルヴェは、未来の摂政オルレアン公のそばで働いていたこともあって、イタリア趣味とフランス趣味を融合するような音楽を書いている。彼が名声を確立したのは1697年の『メデューズ』(台本:ボワイエ)からで、その後オルレアン公が書いた台本に音楽を付けた『パンテ』ではシャルパンティエと一緒に仕事をしている。その後イタリア音楽に着想を得た一声のカンタータなどを書いた後、劇音楽家としての最後の作品がこの『プロテウスの恋』であった。これは伝統的な様式で書かれている。
1722年に摂政からドラランドの後任として王立礼拝堂音楽監督に任命されてからは、宗教音楽ばかりを書いた。約40曲のモテットを書いている。

プロローグ

舞台はパフォスである。
珍しいことだが、一途な愛の神と浮気者の愛の神が登場する。二人ともヴェニュスの息子である。二人は一途な愛と浮気な愛の長所をめぐって言い争いをする。ヴェニュスが降りてきて、最初の愛には一途な愛の神の優位を認め、それ以降は浮気者の愛を許してやろうと、それぞれが愛の領域を分け合うように促す。一途な愛の神はヴェルチューヌが反抗的な美女を一途な愛によって征服することができたと誇り、他方、浮気者の愛の神は自分がプロテウス(あらゆるものに変身できる神)を支配したから彼はこの女に恋い焦がれたのだと誇る。そこでヴェニュスはポモーヌをめぐる二人の物語について華やかなスペクタクルを披露しようと提案する。

第一幕

舞台はポモーヌの王国である。
ニンフのテローヌは愛するプロテウスが浮気者で不実なことを嘆いている。彼女は、ヴェルチューヌと相思相愛の仲であるポモーヌを羨ましいと言う。ヴェルチューヌがやってきてポモーヌと二人になると、結婚を公表してもいいだろうかと許しを求める。ポモーヌはこれ以上の愛はないからと言って公表することを許す。プロテウスがトリトンたちと一緒に海から帰還する。彼はテローヌへの愛情から帰ってきたのだと主張するが、実際にはポモーヌの魅力に惹かれたからだとお付きのトリトンの一人がばらしてしまう。ポモーヌはすでに愛している人が別にいると言って、プロテウスの求愛を拒否するが、プロテウスは断念しない。長い間愛を拒否してきたポモーヌを征服したのはいったい誰なのか、プロテウスは知りたくてたまらない。ヴェルチューヌがポモーヌに熱心だし、夢見心地でいるので、ヴェルチューヌではないかと疑う。

第二幕

舞台は、果実の女神であるポモーヌに捧げられた森である。
プロテウスは変身の神である。ヴェルチューヌの姿に変身して、ポモーヌから本当に愛されているかを聞き出してやろうと考える。ポモーヌと対面すると、ポモーヌがヴェルチューヌを愛していることが分かり、ヴェルチューヌの姿のプロテウスは自分はテローヌの魅力に屈してしまったから、自分のことは忘れてくれとポモーヌに告白する。ポモーヌは激高して復讐を決意するが、自分のための祭が始まるという知らせの音楽を聞いて、しばらく知らないふりをしていようとする。祭が始まり、テローヌがやってきたのを見て、ポモーヌは激しい怒りを彼女にぶつける。するとテローヌは自分の心はプロテウスのものなのに、そんな自分を好きになったヴェルチューヌをとっちめてやると言う。

第三幕

舞台は、ヴェルチューヌがきれいに整備しているポモーヌの庭園。
ヴェルチューヌはポモーヌが自分に激怒して話しかけてくれないことで絶望している。他方、ヴェルチューヌの姿のプロテウスはテローヌを追い回し、テローヌから拒否される。テローヌはポモーヌがヴェルチューヌの心変わりのせいで絶望していると言う。ヴェルチューヌがテローヌを追い回す現場を見て、ポモーヌの怒りは頂点に達する。そこへ本物のヴェルチューヌが現れる。ヴェルチューヌは激怒しているポモーヌの足元にすがりついて、激怒の理由を教えてくれと懇願する。浮気が原因だと言うと、ヴェルチューヌはテローヌを愛することなんかないと言う。そこへテローヌがやってきたので、無実を聞き出そうとすうと、逆に、ヴェルチューヌは非難されて、絶望している。そこへ本当の姿をしたプロテウスが現れて、ことの真相を告白する。バッキュスと愛の神を讃えた歌とダンスで終わる。

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