『アルミード』

Armide

台本/キノー
音楽/リュリ
ジャンル/音楽悲劇
初演/1686年
再演/96年97年
1703年13年14年24年
1746年47年61年64年

解説

リュリとキノーのオペラのなかでも最高傑作といえる。当然のことながら、数々の音楽論のなかで言及されてきたが、なかでもブッフォン論争の渦中にルソーが『フランス音楽に関する手紙』のなかで行なったアルミードのモノローグ批評と、それにたいしてラモーが『音楽に対する我等が本能に関する考察』でリュリを弁護しておこなった論争は有名である。またグルックがキノーの詩に新たに音楽をつけてグルック版『アルミード』を作曲している。両方を聞き比べてみると、100年という時間が音楽様式にどのような変化を及ぼしたかよく分る。

プロローグ

栄光の女神と叡智の女神が、全てのものが屈する英雄の寵愛を競って、彼を賞賛する言葉を歌うが、最後には、彼の寵愛がどちらかに傾いたら、この英雄が望む和合を台無しにしてしまうことになるから、そんな無駄な競争はやめにして、彼の偉大さを歌おうと呼びかける。

栄光の女神と叡智の女神
歌いましょう、彼の法の甘美さを歌いましょう、
歌いましょう、彼の栄光に満ちた戦功を歌いましょう.

そしてルノーの物語を見せてもらえることになっていると告げ、プロローグは終わり、本編が始まる。

第一幕

舞台はアルミードたちの凱旋門がある大きな広場で、アルミード(→)の侍女のフェニースとシドニーが、連戦連勝にみんなが沸き返る中で、どうしてアルミード一人が陰気な悲しみに浸っているのかと尋ねる。アルミードは、最強の敵ルノーを捕えることができない以上は本当の勝利ではない、なぜなら、いずれルノーに打ち負かされてしまうだろうという地獄の予言があるからだ、と答える。そして忌まわしいルノーの鉄鎖にかかって、彼の足下に倒される自分の夢に心を乱されているのだと打ち明ける。
叔父のイドラオが現われ、老い先永くない自分の唯一の望みは、アルミードが夫を選んで、王国の安泰を示してくれることだと言うが、アルミードは婚礼に不快感を表し、自由でいたいと主張する.もしどうしても婚約しなければならないなら、ルノーに打ち勝ったものこそ、自分の夫に相応しいという考えを示す.
一同がアルミードの美しさと強さを称えて歌っているところへ、囚われの騎士たちの監視役であるアロントが傷つけられてやってくる。ルノーがやってきて、アルミードの捕虜の騎士たちをみんな解放してしまったと言う.アルミードとイドラオは激怒し、ルノーを死ぬまで追い詰めてやろうと歌う。

第二幕

ルノー(←)に助けられた騎士のアルテミドールが、ぜひお供をしたいと言うが、ルノーは断る。栄光を求めて、自分の力を必要としてくれる正義と無垢の地に行くというルノーに、アルテミドールはアルミードだけは用心して避けるようにと助言する.ルノーは、自分は愛には関心がないから、大丈夫だと答える。
地獄の精霊や悪魔たちを呼び出すためにアルミードとイドラオが川岸に来たとき、ルノーがやって来る。アルミードはあの獲物は自分のものだから誰も手を出すなと言って、身を隠す。ルノーは、心地よい川岸に魅了され、木陰で眠り込んでしまう.ニンフや羊飼いに姿を変えた悪魔たちがルノーを取り囲み、花飾りでがんじがらめにしてしまう.アルミードが毒針を手にもって現われ、アルミードを一刺しして殺そうとするが、愛に引き止められて、殺せない.ルノーを殺すことができないアルミードは、魔術をかけてルノーがアルミードを愛するようにした上で、ルノーを憎悪してやろうと考える(有名なアルミードのモノローグ「ついにこの人は私の手の中に落ちた」).悪魔たちが西風になって、二人を連れ去る。

第三幕

舞台は砂漠。アルミードは幾千の恋する男たちが追いまわしても恋することはなかったのに、よりによって宿敵のルノーを愛してしまった自分の気持ちを嘆く.あまりの変わりように侍女のシドニーとフェニースが心配の声をあげると、アルミードは、気を許しているときに愛の神に不意を襲われて、ルノーを愛するようになり、あらゆる技を使って自分の心をルノーから引き離そうと試みたが無駄だったことを打ち明ける。ルノーはなんの技も使わず、なんの苦労もせずに、自分を魅惑したのに、自分がルノーを虜にできたのは魔力を使ったおかげであって、「こんなの、役に立たない勝利、偽りの宝だわ」と自分の無力を嘆く。ついにアルミードは憎悪の女神に助けを懇願すると、憎悪の女神が手下の女神たちを連れて地獄から出てくる.
憎悪の女神がアルミードの願いを聞き届け、彼女の心から愛の神を追い出そうとし始めると、アルミードは突然それをさえぎって、止めてくれと懇願する。自分の仕事を中断された憎悪の女神は激怒して、もう二度と戻ってこない、永遠に愛の苦しみに身をゆだねていろと捨て台詞を投げつけて、地獄に戻ってしまう。

第四幕

ルノー救出のためにやってきたユバルドとデンマークの騎士が砂漠に来ると、そこかしこに深淵が口を開き、蒸気とともに、怪物や獰猛な獣たちが出てくるが、ユバルドがもってきた金の杖を見せると、みんな退散してしまう.すると砂漠が消えて、快適な田園に変わって、ルノーが幽閉されている宮殿が姿を見せる.
今度は、デンマークの騎士の最愛の女性であるリュサンドの姿に化けた悪魔が現われ、デンマークの騎士を誘惑する.危うく、その誘惑に負けてしまいそうになったところで、ユバルドが金の杖をリュサンドに触れると、たちまち消えてしまう。
今度は、ユバルドが愛するイタリア人女性のメリースに化けた悪魔が現われ、ユバルドを誘惑する。危うく、その誘惑に負けそうになったところで、デンマークの騎士がユバルドから金の杖を奪い取り、メリースに触れて、消えさせてしまう。
二人は、愛の幻想から身を守って、ルノーが幽閉されている宮殿を目指す。

第五幕

舞台はアルミードの魔法の宮殿で、ルノーは武具を捨てて、花飾りを身にまとって、アルミードと愛の暮らしにふけっている.アルミードが用事で地獄に出かけてしまうと、ルノーの気晴らしをしようと喜びの神々や幸福な恋人たちが踊ったり歌ったりするが、ルノーは彼らを遠ざけてしまう.
誰もいない隙を見計らって、ユバルドとデンマークの騎士がルノーのところへ行き、ユバルドがダイヤモンドの盾をルノーに見せると、その輝きによってルノーにかけられていた魔法が解ける.我に返ったルノーは怠惰にふける自分の姿を恥じて、自分を飾っていた花飾りやその他の装飾を投げ捨てて、ダイヤモンドの盾と剣をとる.
三人が魔法の宮殿を立去ろうとしたときに、アルミードが戻ってきて、ルノーに行かないでくれと懇願する。ルノーはアルミードを愛しているが、義務のために行かなければならないと言う。アルミードはせめて自分を捕虜として連れて行ってくれと懇願する。アルミードが気絶している間に、ルノーはユバルドとデンマークの騎士に引きずられるようにして立去る.一人残されたアルミードは意識を取り戻すと、魔法の宮殿を破壊させて、車に乗って飛び去る.

ディスコグラフィ

Harmonia mundi France 901456.57
合唱・オーケストラ/
ル・コレジオム・ヴォカール,ラ・シャペル・ロワイヤル
指揮/フィリップ・ヘレヴェッヘ
アルミード/ギユメット・ローランス
ルノー/ハワード・クルーク

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