『アティス』

Atys

台本/キノー
音楽/リュリ
ジャンル/音楽悲劇
初演/1676年
再演/1689年,99年
1702年,08年,09年,25年
1738年,40年,47年,53年

解説

1987年に、リュリの没後300年を記念して行なわれた、ウィリアム・クリスティー&レ・ザール・フロリサンによる『アティス』は、フランスにバロック・オペラのルネッサンスの流れをつくりだした記念碑的演奏となった。

プロローグ

 時の神が,最大の英雄であるルイ14世に栄光を約束する.春の女神であるフロールは王がまた春には早い三月には戦に出陣するので,敬意を表しに行くのに間に合わないと不満を述べ,時の神と一緒に行きたいと望む.だが,悲劇の女神メルポメーヌは王国の心配事をすべて取り除こうと腐心し,国王ルイにあまりに多くの仕事を思い出させるもの悲しい闇を追い払う.この女神は国王の気晴らしに,しばらくアティスの話をしようと申し出る.

第一幕

 夜明け.まだすべてが眠っている.アティスは興奮して,女神シベールの到着の準備をするように,眠りこけているフリギア人たちに促す.イダスは彼の興奮を馬鹿にする:「アティスよ,もう下手な芝居は止めるんだな;私は君の秘密を知っているんだ.」
 サンガリードがアティスと同じように興奮して現れる.だが彼女の場合には他の理由があった.今日,フリギア国王セレニュスと彼女の結婚の祝いが行われるからだ.神々の王女シベールは自分が出席してこの婚礼に花を添えようと約束していた.
 少しして,サンガリード一人になる.
 かつては彼女の喜びは見せかけでしかなかった.彼女はアティスを愛しているが,彼のほうは愛す ることを望んでいないし,そうすることもできなかったからだ.そこでサンガリードは諦め,嫌悪している運命に従うことにしたのだ.
 ところがアティスが彼女の悲嘆の原因を知り,この上なく優しく,かつてはだれも信じられなかったような愛を彼女に申し出た.彼女も女だ.どうしてそれを拒むことができよう.

第二幕

 国王セレニュスとアティスは,シベールによって犠牲祭司長として選ばれるという栄光を競って口論となる.だが,二人ともその辛辣な言葉の裏に心の動揺を隠しており,愛しているサンガリードのイメージが彼らの口論の端々に窺われる.
 シベールが到着し,密かに愛しているアティスのほうに軍配をあげる.ここでこの女神はフリギア王国に来た理由を説明する.サンガリードとセレニュスの結婚は口実で,アティスに会って,自分がどれほど彼を愛しているかを告白したかったのだ.だが,神々の王女は慎重に自分を抑え,公表するという愚行をする決心が付かない.
 諸国民から喝采によって迎えられたアティスは新たな責務を負うという栄光を受ける.

第三幕

 心がときめくとき,この若者には栄光など苦々しく思えるだけだ.アティスは,知らず知らずのうちに,セレニュスに対する友情を断念して,彼を裏切ることを自分に言い聞かせている.決心がつくやいなや,深い眠気が彼を襲う.それは彼への愛を教えるためのシベールの技だったのだ.睡眠の寓意たちが夢を伴って現れ,愛の喜びを歌う.そこへ不吉な夢が介入し,神々を裏切ることの危険を教える.この最後の夢に驚いたアティスは目を覚ます.シベールは彼を落ち着かせ,優しく愛撫してやる.アティスには分かるだろうか? 彼もシベールを愛するだろうか?
 そこへサンガリードが到着し,跪いて,シベールに懇願する.彼女はセレニュスを愛していないし,結婚をしたいとも思っていない.アティスは困惑し,混乱し,二人のあいだに割ってはいる.シベールは彼らの混乱した身振りから二人の愛を見抜く.そして一人涙ぐむ.

第四幕

 ニンフのサンガリードもアティスの混乱した様子を見るが,彼女はそれをまったく違った風に解釈する.つまりアティスがシベールを愛していると思ったのだ.そして彼女はアティスの心変わりを嘆く.これではセレニュスを拒む理由がどこにあろうか?
 アティスは自分の思いを説明し,二人は永遠の忠誠を誓い合う.アティスは犠牲司祭長という肩書きの力を使って,サンガリードとセレニュスの婚礼の儀式を中止する命令を出すために,サンガリードの父のもとへ出発する.

第五幕

 この決定を知ったセレニュスは,すぐにシベールのもとへ赴く.アティスによって裏切られたことを理解した彼らは,二人にもっとも酷い苦しみを味あわせてやることにする.シベールの技によって気が狂ったアティスは,サンガリードを見て,怪物だと思いこみ,刺し殺してしまう.理性を取り戻したアティスは,自分のしたことを嘆き,自刃しようとする.シベールはそれを妨げ,アティスを松の木に変えてしまう.
 全てが終わり,無秩序のなかで,決して彼女から逃げ去ることのできない姿になった男を見て,シベールは涙する.

ディスコグラフィ

Harmonia mundi France 901257.59
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティ
アティス/ギ・ド・メ
シベール/ギユメット・ローランス
サンガリード/アニェス・メロン
セレニュス/ジャン=フランソワ・ガルドゥイユ

演出/ジャン=マリ・ヴィレジエ
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティ
アティス/Bernard Richter
シベール/Stephanie d'Oustrac
サンガリード/Emmanuelle de Negri
セレニュス/Nicolas Rivenq

2011年に上演された最新の『アティス』。演出はフランス人の有名な演出家ヴィレジエが担当しているだけあって舞台装置も衣装も豪華。彼の演出は耽美主義というか、完全主義というか。クリスティーもこういう演出家と組んで本領を発揮している。

2011年のヴィレジエ演出の『アティス』の一部。これぞヴィレジエの美学が現れている。フルチンでダンスを踊らせる最近の演出とは違う。

さらにこちらは1987年にウィリアム・クリスティー指揮で『アティス』が復活上演されたときのもの。

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