『夜のバレ』
Ballet de la Nuit

ジャンル/バレ・ド・クール
初演/1653年
台本/バンスラード

背景
 1653年2月23日、プティ=ブルボン宮の広間で踊られた。チュレーヌ将軍とマザランがパリに戻り、フロンドの乱が沈静化したことを祝うバレと見ることができる。

あらすじ

第一の前夜

  <太陽>が沈む.<夜>がミミズクたちに引っぱられて舞台を横切るその車にのって登場.<12の時>が彼女に同伴している:<時のバレ>.
ルイ14世もそのひとり.彼はフクロウを被り,大きな蝶の羽を背中に付けている
舞台装飾の転換:プロテウスがその洞窟に海獣の群を連れてくる.<海獣のバレ>.プロテウスの二つか三つの変身.海苔と貝殻を被った五人のネレイデス[海神ネレウスの娘たち]がアントレを踊る.
舞台装飾の転換:疲れて小屋に帰ろうとする狩人たちのいる森が見える:<狩人達のバレ>.羊の群を連れた羊飼いの男女のバレ:オーボエとフルート.
舞台装置の転換:町の眺望,列柱廊下に囲まれた家々.夜のとばりが降りる:強盗団が一人の商人を殺す.<強盗のバレ>.<コケットな女たちとギャラントな男たちのバレ>.<熊と賢い動物たちの使い手のバレ>(最後の役には,ギシュ公爵,10才年上の国王の兄であるヴィルロ侯爵,─ボナール,ピコ,チュルパンと犬に扮したその弟).景気のいいことを言って,財布をかすめ取る<エジプト人男女のバレ>.<街灯の点火人のバレ>.パントミム:椅子に座った二人の町人が強盗に襲われ,国王巡邏隊によって解放される.モングラ侯爵のそばにはチェンバリストのチャンボニエールが町人の役を演じている:リュリは国王巡邏隊の一兵士.
新しい舞台装飾:奇跡の宮廷;<キュル・ド・ジャット[両足のない障害者],浮浪者,身体麻痺者のバレ>(ボーブラン,ブリュノー,モリエ,ラルゥー,ボーシャン,カブとその他12人).ここでミシェル・ランベールの隣でリュリがはじめてそのグロテスクでけばけばしいやりかたで目立つ.傷痍軍人は松葉杖を使っている.

第二の前夜

  ヴェニュスが登場し,悲しみの女神,老いの女神,運命の三女神を追いやり,エールを歌い,<笑いと遊びのバレ>(ルイ14世は<遊び>を演じている)を導き入れる.
  舞台装飾が変わり,今度は舞踏会場を表している.鏡の遊び:舞台が舞踏会場を映し出す.ロジェ,ブラダマント,そしてアリオストの主人公達,アンジェリックとメドール,マルフィーズ,リシャルデ,杉の花とギドンが古い様式のクーラントとブランルを踊る.次にこれらの主人公達が着席し,彼ら自身バレを見る:舞台は二重になり,バレの主題はバレの再現となる;俳優達が他の俳優達の観客になり,舞踏会場の観客は他の観客を見ることになる.芝居そのものが芝居となる.主題は『テティスの婚礼』で,パントミムによる一種の幻想的パロディである.ミシェル・ランベールは羽根飾りのついた帽子に,プルポワン[中世から17世紀頃のウエスト丈の男性用胴衣]と黒柄の黄色いサテンの半ズボンを身につけて,ペレウスの役を踊り歌う.この第二の劇場にはウルカヌス,テセウス,ヘーベ,バッカス,ガニュメデス,ケレス(麦の穂,ひなげし,矢車菊をかざったコスチューム)─アポロン(胸にヴィオール,腕を表す二本のバイオリンを付けている).三人のミューズ,クリオ,エウテルペ,エラトが音楽家として招待される:オーケストラが今度は二重化され,舞台に上がる.バレの後はイタリア風即興仮面劇の幻想的様式で上演される喜劇『アンフィトリオン』である.リュリはそこでは,黒玉模様の白い服という本当らしくない服でソジを演じている.

第三の前夜

  幕間の後,舞台装飾の転換.そして第三の前夜である.真夜中.<月>が星に取り囲まれた車に乗っている.<月>とエンデュミオンの愛;観客から恋人達を見えないようにしている雲の落下.天文学者のプトレマイオスとゾロアストル.月の消失を不安がる<天文学者達のバレ>.天体に義務を思い出させるためにシンバルを叩く<コリュバスのバレ>.<激情のバレ>(ルイ14世は炎の素晴らしい服を着ている).<魔女達と黒ミサ>.幻覚,変身.舞台装飾と雰囲気の転換:市中の火事.

第四の前夜

  幕間.午前三時.<眠り>と<沈黙>が<ルイ>の名が発せられるのを聞いて目覚める.<眠りと沈黙のエール>.<夢のバレ>.幸福な夢,恐ろしい夢,幻想的な夢,異常な夢.<内気な恋人達のバレ>.<贋金作り達のバレ>.<鍛冶屋たちのバレ>.<明けの一番星>が精霊たちに囲まれて登場し,次に<黎明>が昼の12の時に囲まれて登場.<朝日>(このページのトップの写真)が,<名誉>,<優美>,<愛>,<価値>,<勝利>,<恩寵>,<名声>,<平和>に囲まれて登場(下の動画を参照).グラン・バレ(最後のアントレのこと)は終わる.

(上記あらすじ,写真ともに,Philippe Beaussant, Lully ou le musicien du Soleil, Gallimard, 1992より引用)



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