『カストルとポリュックス』54年版

Castor et Pollux

台本/ベルナール
音楽/ラモー
ジャンル/音楽悲劇
改訂版初演/1754年
54年版再演/1764年
72年78年80年82年84年85年
1737年版1754年版
プロローグ戦争による荒廃からの再生
第一幕カストルの葬儀
ポリュックスの凱旋
テライールがポリュックスに
カストルを生き返らせてくれと懇願
ポリュックスとテライールの婚礼
テライールとカストルの別れの場面
リンセウスの反乱とカストルの死
第二幕ジュピテルの神殿前
ジュピテルの返事
カストルの葬儀
ポリュックスの凱旋
フェベの冥界下りの話に
ポリュックスは自分が行くことを決意
第三幕冥界への入り口での押し問答ジュピテルの神殿前
ジュピテルの返事
第四幕カストルとポリュックスの再会冥界への入り口での押し問答
カストルとポリュックスの再会
第五幕生き返ったカストルとテライールの再会
祝福のディヴェルティスマン
生き返ったカストルとテライールの再会
祝福のディヴェルティスマン

第一幕

舞台は、スパルタ国王ポリュックスと太陽神の娘テライールとの婚礼の道具の揃った宮殿。テライールの妹のフェベは、彼女が夢中になっているカストルがじつはテライールを愛していること、そしてこの婚礼が二人を決定的に引き裂くことになればいいがと願っていることを、侍女のクレオーヌに告白する。
二人が立去ると、テライールが登場する。もうじきポリュックスとの婚礼の式が執り行なわれるというのに、愛するカストルへの愛を押し殺したことへの後悔にさいなまれている。そこへカストルが別れの挨拶をしにやってくる。テライールを愛しているが、彼女と国王ポリュックスとの結婚を機に、二人の幸福のために身を引くというのだ。それまで彼らの様子を見ていたポリュックスが現れ、カストルの出立を引き止める。彼は自分の愛情を抑制して、愛し合う二人の婚礼を認めたのだ。
スパルタの民衆が寛大な国王の行為と二人の幸福を祝福して歌ったり踊ったりしているところへ、嫉妬に負けたフェベ姫がリンセウスをあおって、反乱を起し、宮殿は戦火に包まれ、ついにカストルが打ち倒される。

第二幕

舞台は、カストルの葬儀のために整えられた火葬台を表す。スパルタの民衆が幸福の絶頂で死んだカストルを嘆き悲しんでいる。カストルを失ったテライールは呆然となり、もはや生きる望みを失っている。フェベがやってきて、カストルを失わせてしまったことへの後悔を語り、もしテライールがカストルへの愛を断念するなら、自分がその技を使って冥界を動かし、カストルを生き返らせて見せると言う。テライールはそうして欲しいと言って、フェベを驚かす。そこへポリュックスが反乱者に勝利して戻ってくる。
フェベがその力でカストルを冥界から取り戻してくれるかもしれないというテライールに、ポリュックスは自分が父ジュピテル(ゼウス)のもとに行って、カストルを生き返らせてくれるように頼むのだと言って出て行く。

第三幕

舞台はポリュックスの父であるジュピテルの宮殿の前庭、ここでポリュックスが供犠を行う。すると神殿が開き、神官長が供の者を引き連れてでてきて、ジュピテルの降臨を告げる。
ジュピテルが降臨すると、ポリュックスはカストルを冥界から取り戻して欲しいと求めるが、ジュピテルは冥界には冥界の法があって、ポリュックスが身代わりにならない限り、それはできないと答える。ポリュックスは自分が身代わりになると申し出る。青春の女神エベ(へべ)と従者の喜びの神々が現れ、ポリュックスに愛することの喜びと幸せを教え、身代わりになるのを思いとどまるように諭す。だが、ポリュックスは地獄下りの決意を変えようとはしない。

第四幕

舞台は地獄への入り口で、そこには怪物、亡霊、悪魔たちが見張り、たえず火が噴きあげられている。フェベが精霊たちや魔法の力を引き連れて、冥界に入ろうとして、見張り番の怪物たちと戦う。そこへメルキュールがポリュックスと一緒に降りてくる。メルキュールはフェベに、冥界に入れるのはポリュックスだけだと告げる。フェベがポリュックスに先導役をさせてくれと頼むが、ポリュックスは無視して冥界への入り口へ進もうとする。冥界への入り口に入ろうとする一行と、それを押し止めようとする悪魔たちのつばぜり合い。悪魔たちは、ジュピテルと一戦を交えて、地獄の炎で天を焦がしてやろうとまで、言い出す始末。
ポリュックスとメルキュールが飛んで深淵を飛び越えてしまうと、一人残されたフェベは悔しがり、カストルが自分のライバルのために生き返るくらいなら、永遠に閉じ込めてしまおうと考える。
舞台は変わって、カストルがいるところ。カストルはここですべてが満たされているのに、後悔の念が湧いてくると嘆く。
亡霊たちがこの平和で落ち着いた隠棲の地を歌っていると、ポリュックスがやってきてそれを中断する。ポリュックスはカストルに事の次第を説明する。身代わりに、ポリュックスが冥界に残ることを知って最初カストルは渋っていたが、最後には一日だけ、甦って、再び冥界に戻ると約束する。

第五幕

舞台はスパルタ近郊の心地よい光景を表す。テライールがカストルの後を追って死のうとしているところへ、カストルが冥界から戻ってくる。テライールは最愛の人に再会できた喜びも束の間、カストルが兄と誓いのために冥界にとって返さねばならないことを知って、絶望する。だが、民衆はカストルの帰還を喜んで歌い踊る。カストルがテライールと一緒に地獄に下りる下りないの押し問答をしているあいだに、神の怒りを示す雷が轟き、大地が揺れる。突然それらが止み、ジュピテルが降臨する。ジュピテルは彼らの友情と愛情を称えて、黄道に彼らの場所を与える。惑星や星座の精霊たちが踊っているあいだに、二人はその位置に収まる。最後にカストルが愛の神を称える歌を歌い、一同が合唱して終わる。

ディスコグラフィ

ERATO 4509-95311-2
合唱・オーケストラ/English Bach Festival Baroque Orchestra
指揮/シャルル・ファルヌコンブ
カストル/ピーター・ジェフェス
ポリュックス/フィリップ・ユタンロシェ
テライール/ジェニファ・スミス
フェベ/シンシア・バチェン
ジュピテル/ローレンス・ウォーリントン


上演/ネーデルランド=オペラ、2008年
合唱・オーケストラ/Les Talents Lyriques
指揮/Christophe Rousset
カストル/Finnur Bjarnason
ポリュックス/Henk Neven
テライール/Anna Maria Panzarella
フェベ/Veronique Gens
ジュピテル/Nicolas Teste

この演出は、舞台美術を抽象的なものにしており、それに合わせて衣装も、古代風でも現代風でもない抽象的な衣装になっている。役者の動きは非常に緩慢で、全体を貫く雰囲気は重々しい葬儀のそれである。グルックの『アルセスト』のそれに似ている。
ラモーのオペラで重要なダンスは、18世紀のダンスを捨てて、現代風になっている、というか一種の創作ダンスのようなもの。ラモーはディヴェルティスマンのダンスによって雰囲気を暗鬱から陽気に、活気から悲痛にテンポよくコントラストよく進めようと配慮しているのだが、この演出はそれをまったく無視している。本来、ダンスにもテンポや曲想によって、雰囲気を提示する役目があるはずだが、この演出によるダンスはまったく意味をなしていない。確かに現代風なダンスにすること自体には問題はないが、意味が分からないようでは。

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