『ダルダニュス』

Dardanus

台本/ラ・ブリュエール
音楽/ラモー
ジャンル/音楽悲劇
初演/1739年
再演/1744年60年68年

解説

 音楽だけを見ると,序曲を始めとして,イタリア音楽的な要素の強い作品である。だが,初演当時はあまり聴衆に受けなかったらしい。おそらくまだイタリア音楽を受け入れるだけの素地が聞く側にできていなかったためだろう。たとえば1752年にブッフォン論争の引き金となるペルゴレージの『奥様女中』も46年にパリで上演されたときには何の反応も引き起こさなかった。
 ダルダニュスが魔術師のイスメノールのところに行き,イスメノールに変装してイフィーズに会う個所は,ルソーの『村の占い師』で,コランがコレットに久しぶりに再会する個所に酷似している。なんらかの影響を与えているのかもしれない。

第一幕

フリジア国王トゥセの娘イフィーズは敵のダルダニュスを心ならずも愛するようになったことを嘆いている。ダルダニュスとの戦で倒れた戦士たちの墓地に一人来て、死者の魂に自分の理性を取り戻させてくれるように祈っている。そこへ父のトゥセがやってきて、宿敵ダルダニュスを打ち倒す最強の助っ人、隣国の王子アンテノールの到着を知らせる。アンテノールがやってきて、勝利を約束する。アンテノールとトゥセは戦の神々に庇護を祈り、勝利を誓い合う。だが戦の士気を萎えさせるかのように合唱が愛の神こそ栄光と喜びの両方をもたらしてくれると歌う。ダルダニュス打倒に燃え上がる国王たちを見てイフィーズの心はちぢに乱れる。心に無垢と平和を取り戻したい彼女は魔術師のイスメノールに相談しようと考える。

第二幕

舞台は人気のない荒涼としたところ。魔術師のイスメノールの棲家に、ダルダニュスがやってきて敵の娘イフィーズへの愛を告白する。イフィーズがここにやってくることを知っており、先回りしてきたのだ。彼女の心を知りたいのだ。イスメノールは魔術によってダルダニュスにイスメノールの姿を与えてやる。
そこへイフィーズを愛し、彼女を手に入れるために、ダルダニュス討伐の約束をした隣国の王子アンテノールがやってくる。イフィーズへの恋路がライバルによって邪魔立てされるのかどうかを知りたくてやってきたのだった。だがそこへイフィーズがやってきたので、アンテノールは立去る。
イフィーズは相手がダルダニュスとも知らず、ダルダニュスへの理性に反した激しい愛を打ち明け、この愛を消し去って欲しいと頼む。イフィーズが自分を愛していることを知ったダルダニュスは本当の姿を表してしまう。イフィーズは驚いて、逃げてしまうが、ダルダニュスはイフィーズの愛を知って浮かれる。彼はフリジアの人々に捕らえられる。

第三幕

舞台はトゥセの宮殿の回廊。敵のダルダニュスを愛したという良心の呵責に、今度は彼を失うという恐怖心が重なり、イフィーズは自らの宿命を嘆いている。そこへアンテノールが来て、イフィーズの父が二人の婚礼を執り行うことに同意したと伝える。イフィーズはアンテノールとの婚礼にはっきりと拒否を宣言し、もし無理やりに執り行えば、自害すると言う。
そこへトゥセがやってきて、ネプチューンがジュピテルの息子ダルダニュスを拘束したことでフリジアに激怒し、恐ろしい怪物を送ったことを知らせる。それを聞いたアンテノールは血気に逸り、返り討ちにするといきまいて、出陣する。

第四幕

舞台はダルダニュスが鎖につながれている牢獄。ダルダニュスは愛ゆえに理性を失い、牢獄につながれた自分の不幸を歌う。そこへ魔術師のイスメノールが現れ、不屈の運命の神も愛の神の前では無力だからと、愛の神に助力を請うようにと勧める。ダルダニュスが妙なる音楽を耳にして眠ってしまう。
ヴェニュスが現れ、ダルダニュスを解放するためにジュピテルによって使わされたのだと告げる。そして夢に神々に彼を苦しみから解放してやるように呼びかけると、夢の神々が歌い、最後に怪物が国を荒らしまわっていることを知らせ、ダルダニュスに征伐を命ずる。
夢から覚めたダルダニュスの前にアンテノールが現れ、愛の神は怪物よりも恐ろしいと嘆きを歌う。怪物が現れ、アンテノールは勇敢にも戦うが、打ち倒されそうになる。ダルダニュスが間一髪で怪物を打ち倒してアンテノールを救うと、暗闇の中で救い主が誰なのか分らない彼は感謝から剣を与え、どんなことでも望みとおりにしようと約束する。ダルダニュスはイフィーズから手を引くようにと要求する。それはできないと拒否するアンテノールだが、ダルダニュスも後に引かない。

第五幕

舞台はトゥセの宮殿。アンテノールが帰還し、一同はアンテノールが怪物を打ち倒したと思い、勝利と栄光を歌う。さらにトゥセが怪物を打ち倒したものをイフィーズの夫とするという神託をネプチューンが与えたと告げる。それを聞いたアンテノールは呆然とする。そこへ鎖につながれているはずのダルダニュスが現れる。ダルダニュスは怪物退治のときにアンテノールがくれた剣を見せて、彼にライバルである自分を打ち倒すように促すが、アンテノールは剣を見て、怪物を打ち倒したのはダルダニュスであると公言し、潔く身を引いた。するとヴェニュスが降りてきて、ジュピテルの息子の勝利を祝福するようにと告げる。一同、歌と踊りでダルダニュスとイフィーズを祝福する。

ディスコグラフィ

ERATO 0630-15517-2
合唱・オーケストラ/パリ・オペラ座国立劇場管弦楽団・合唱団
指揮/レイモンド・レッパード
ダルダニュス/ジョルジュ・ゴーティエ
アンテノール/ミヒャエル・デヴリン
トゥセ/ロジェ・ソワイエ
イスメノール/ジョゼ・バン=ダム
イフィーズ/フレデリカ・ヴォン・シュターデ

UCCA-3124/5
合唱/レ・ミュジシヤン・デュ・ルーヴル合唱団
指揮/マルク・ミンコフスキ
ダルダニュス/ジャン=マーク・エインズリー
アンテノール/ロラン・ナウリ
トゥセ/ラッセル・スミス
イスメノール/ジャン=フィリップ・クルティス
イフィーズ/ヴェロニック・ジャン
※1739年版に1744年版の一部が付加されている。

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