『エネとラヴィニー』

Enée et Lavinie

台本/フォントネル
音楽/コラース
ジャンル/音楽悲劇
初演/1690年
再演/1758年(ドヴェルニュの音楽で)

ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』の第七歌から主題を借用したもので、トロイの民が放浪の末に国王ラティニュスによってイタリアに受け容れられたことを描いており、名誉革命によってイギリスから追放された国王ジェームズ2世をルイ14世が助けたことを示唆していると言われる。
ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』を元にして書かれたウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』はトロイ滅亡の英雄アエネアースの遍歴を描いた叙事詩で、ラテン文学の最高傑作といわれる。ヴェニュスとトロイ人の間に生まれたアエネアース(エネ)はトロイ人たちと新天地のイタリアの一地方の王であるラティヌスのもとにたどり着く。ラティヌスの王女ラウィーニア(ラヴィニー)は一地方の王であるトゥルヌスと婚約していたが、ラティヌスがアエネアースの偉大さに惹かれて、二人を結婚させようとしたことから、アエネアースとトゥルヌスの闘いが始まる。

プロローグ

テッサリアの主要な山々のあいだに広がる渓谷。
至福の女神が天上から降りてきて、ジュピテルが羊飼いたちに穏かな日々を約束していると告げているところへ、タイタンたちが乱暴に侵入してきて、ジュピテルに戦いを挑み、岩山を積み上げる。そこに鳴り渡ったジュピテルの雷鳴にタイタンたちが降参する。

第一幕

ジャニュス(ヤヌス)の神殿。神殿の中にはジャニュスの彫像があり、その足元には戦の女神、怒りの女神、不和の女神、憎悪の女神が鎖につながれている。
エネの相談相手のイリオネから今日はラティニュス王が王女ラヴィニーの結婚相手を宣言する日だと知らされ、エネは動揺を隠せない。通りがかったラヴィニーに自分への思いを明かしてほしいと求めるが、ラヴィニーは父王の決定に従うとしか言わない。ついにラティニュス王が登場し、彼の選択を告げようというまさにそのときに、神殿は火に包まれ、鎖につながれていた四人の女神たちは逃げ去り、ジュノンが降りてきて、エネたちをこの土地から追放せよと命じる。その激しさに怖れをなした王ラティニュスはエネの制止も聞かずに、公表をやめてしまう。

第二幕

国王の父フォーニュスに捧げられた森。小さな鄙びた神殿があり、その中にはこの神の彫像がある。
ジュノンがエネの追放を命じたことでラヴィニーは悲しんでいる。相談相手のカミーユがエネの母であるヴェニュスが助けてくれるだろうし、父王もエネを支持しているのだからと宥めても、ラヴィニーの不安は増すばかり。窮地を切り抜けるために王ラティニュスは父フォーニュスの神殿に神託を求めると、愛の神々が平和をもたらし、天はラヴィニーが選んだ夫を認めるというものであった。これを聞いて王は天が味方してくれていると喜ぶが、ラヴィニーは不安を捨て去れない。怖ろしい音とともに、ディドン(ディドー)の亡霊が現れ、永遠の愛を裏切ったエネのために自殺したのだとラヴィニーに教える。エネのかつての裏切りを知ったラヴィニーはエネに冷たく当たる。

第三幕

シルセが孫のラティニュスに残した宮殿の庭園。
エネのライバルのテュルニュスがなぜ自分を選ばないのかとラヴィニーを非難するが、テュルニュスの前では公正を装っているラヴィニーも彼が立ち去ると、嫌悪をあからさまにする。しかしカミーユはディドンの亡霊が教えたようにエネは浮気者だから、テュルニュスを選ぶようにと勧める。ラヴィニーはついに理性の声にしたがってテュルニュスのほうに決める。そのときバッキュスの祭りの音が響き渡る。王妃をはじめとした祭りの一団がトロイ人の追放を叫ぶ中で、ラヴィニーはついにテュルニュスを選んだと宣言する。

第四幕

シルセの宮殿。
ラヴィニーの宣言を伝え聞いたエネはラヴィニーに会って彼女を責めたてるが、ラヴィニーはディドンの亡霊が自分の思いを変えさせ、テュルニュスを選ぶと宣言させてしまったのだと怒りの中で説明しながら、後悔の思いを口にする。エネがテュルニュスにさしでの勝負を挑もうとしているところに、ヴェニュスが降りてきて、夫のヴュルカヌスが鍛えた武器をエネに渡して、激励する。

第五幕

ジュノンの神殿。
ラヴィニーは王妃とともにジュノンの神殿に来ているが、自分のしたことを後悔し、エネと一緒に死ぬと言い出す。そこへ勝利したエネが国王とともにやって来て、ジュノンに怒りを鎮めてくれるように願いをかけると、ジュノンが受け容れるたことで、最後にトロイ人と古代ローマ人の民の統合を祝福する歌と踊りで終わる。

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