『優雅なヨーロッパ』

Europe galante

台本/ウダール・ド・ラ・モット
音楽/アンドレ・カンプラ
ジャンル/オペラ=バレ
初演/1697年

解説

カンプラは『優雅なヨーロッパ』によってオペラ=バレというジャンルを創始した.オペラ=バレは,複数のアントレのそれぞれが独立・完結した物語をもち,アントレの途中および最後に歌とバレによるディヴェルティスマンが置かれるという形式をもつ,いかにもフランス的なジャンルである.これ以降,続々とオペラ=バレが作曲されることになるが,そのなかで最も有名なのがラモーの『優雅なインドの国々』である.またルソーも『優雅な詩の女神たち』というオペラ=バレによって音楽家としてのデビューを果たしたことを記しておこう.
『序曲』

第一アントレ:プロローグ

舞台は、美の女神たち、喜びの神々、笑いの神々が愛の神の矢を造っている鍛冶場。そこにヴェニュスが降りてきて、彼らを激励する。ヴェニュスや美の女神たちが、愛の神の矢に傷つけられることにはこの上ない魅力があると歌ったり踊ったりしていると、不和の女神が突然やって来てこのディヴェルティスマンを乱す.不和の女神が、ヨーロッパでは愛の神からその支配を奪い取ったから、浮気者たちや嫉妬深い者たちをヨーロッパに撒き散らしてやろうと言う.ヴェニュスは、彼女が撒き散らした怯えは、いずれ愛の神が支配を行き渡らせて、愛の栄光に変わるだろう誇らしげに言う.

第二アントレ:フランス

舞台は牧草地で、その奥に小集落がある。登場人物は羊飼いの男女.シルヴァンドルは浮気者の羊飼い.愛の誓いを立てるときよりもその誓いを破るときのほうがわくわくするとうそぶく男.そして新しい相手は、愛に無関心な羊飼いの娘セフィーズで、シルヴァンドルはこんな彼女をの心を虜にできたら、こんな嬉しいことはないと言う.
セフィーズが一人でいると、羊飼いの男女がやってきて、「愛せよ、愛せよ」と歌ったり踊ったりする.そこへシルヴァンドルがやって来て、愛の告白をする.つい二日前まではドリスを追い掛け回していたのに、とセフィーズがその気の変わりようを非難すると、セフィーズのことを知らなかったからだとシルヴァンドルは答える.セフィーズがもし人を愛するのだったら、初めての人がいいと言うと、シルヴァンドルは、ドリスは浮気の相手だったから、本当の愛を感じたのは君が初めてだよと答える.
ドリスがシルヴァンドルを探してやってくるが、見つからない.彼女は、シルヴァンドルに捨てられたと思い、一旦は激怒にかられるが、シルヴァンドルは浮気者だから、いずれまた自分のところに戻ってくるに違いないから待っていようと、気持ちを鎮める.

第三アントレ:スペイン

舞台は、公共広場だが、夜なので、ぼんやりとしか見えない。騎士のドン・ペドロがバルコニーで愛するリュシルのことを思っている.そろそろ彼女が自分のことを愛しているのかどうなのかはっきり白黒つけたがっている.
舞台が明るくなると、騎士のドン・カルロスが楽士や踊り手たちと一緒にやって来る.彼は楽士たちに愛の歌を歌って、愛する女性レオノールに自分が感じている喜びを味わわせて欲しいと言う.セレナーデが演奏され、歌手が歌う.いつまでたってもレオノールが現われないので、がっかりするドン・カルロス.
そこにドン・ペドロもやって来て、それぞれが自分のほうが忠実な恋する男だと言い張る.

第四アントレ:イタリア

舞台は舞踏会のために用意された壮麗なホール.ヴェネチアの貴族であるオクタヴィオは決して愛してくれないヴェネチア女のオランピアを追いまわしているが、オランピアは冷静に相手を見ており、オクタヴィオの愛し方は、苦しむために愛しているようなものだと冷たく言い放つ.
仮面をつけた人々がやって来て、そのなかの何人かが理性を捨てて愛に身をゆだねようと歌う.舞踏会の間、仮面をかぶった一人の男性がオランピアと踊り、彼女に対する特別の好意を示す.舞踏会が終わり、オクタヴィオはこの仮面の男性の後をつける.
オクタヴィオがいなくなったのでオランピア不審に思っていると、オクタヴィオが手に短剣をもって現われ、先ほどの男を殺したと言う.だが、実際にはその仮面の男はオランピアの愛人でも何でもなかったのだ.激怒にかられたオクタヴィオは、オランピアも殺しても自決しようと考える.

第五アントレ:トルコ

舞台はオスマントルコの後宮の庭園.スルタン(君主)であるジュリマンに妻(一夫多妻制なので、複数の妻の一人)のロクサーヌが、ジュリマンに他に愛する女性ができたことをなじっている.そこへジュリマンの新しい愛の相手であるザイードがやって来る.ジュリマンはザイードに永遠の愛を誓う.するとそれを聞いていたロクサーヌが狂喜して現われ、短剣でザイードを殺そうとする.ロクサーヌはジュリマンの従者たちによって連れ去られる。ジュリマンとザイードは永遠の愛を誓い合う.
後宮の庭師たちが現われ、歌ったり踊ったりする.
不和の女神が再登場して、ヨーロッパのどの国々でも愛の神が支配しているのを見て、せめて冥界だけでも支配しようと、冥界に下っていく.ヴェニュスが愛の神の勝利を宣言して、終わる.

ディスコグラフィ

Deutsche Harmonia Mundi BVCD-1810-11
オーケストラ/ラ・プティット・バンド
指揮/グスタフ・レオンハルト
不和の女神,セフィーズ,スペイン女/ラシェル・ヤーカー
ヴェニュス,ザイード,舞踏会の女/マリヤンヌ・グヴェクジルバー
羊飼い,ドン・ペドロ/ルネ・ヤーコブス

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