『はた迷惑な人たち』
Les Facheux

ジャンル/コメディ・バレ
初演/1661年
台本/モリエール
音楽/ボーシャン、リュリ

 『はた迷惑な人たち』は、1661年8月17日に、財務卿フーケの居城ヴォー=ル=ヴィコント城の庭園で、ルイ14世をもてなすために行われた盛大な祝祭において初演された。画家ル・ブランが描いた舞台、当代屈指の舞台装置家トレッリの作った仕掛けの数々などとともに、音楽とバレと喜劇が一体となった新しいジャンル、コメディ=バレの第一作といわれるのが、この『はた迷惑な人たち』である。音楽、バレ、喜劇の一体化という新しいジャンルを試みるきっかけにつては、モリエール自身が出版に際して付した序文を読むのが一番分かりやすい。
 バレの上演も目的の一つだった.ところが優れた踊り手は少数しかいなかったので,このバレのアントレをいくつかに分けることが必要になった.そしてバレのアントレを喜劇の幕間に入れれば,それによって時間的余裕ができるので,同じ踊り手が別の衣装を着て戻ってくることができるという考えだった.その結果,これらの幕間によって作品の流れを分断することがないようにするために,それらをできるだけ主題に結びつけ,バレと喜劇の両方で一つものになるように考えた.だが、時間的に余裕がなかったし、一人の人間の頭で考えたことでもないので、バレには他の部分に比べて喜劇の主題としっくりこない個所もあるかもしれない。いずれにしても、これは、フランス演劇界においては新しい融合である。

プロローグ

 噴水の中央にある貝殻の口が開き、中から泉の精ナイアード(後にモリエールの妻となるアルマンド・ベジャールが演じた)が現れ、国王ルイ14世の全能の力を称える詩を読み上げる。

第一幕

 侯爵のエラストは恋人のオルフィーズとの待ち合わせ場所にきている。彼は、そこの来る前に見た芝居で、俳優や観客の迷惑を顧みず、我が物顔に大声でエラストに話し掛けてくる見知らぬ男からさんざんのめにあわされたことを話す。それを聞きながら、召使のラ・モンターニュがエラストの世話をしようとするが、逆にエラストを怒らせてしまう。
 そこへオルフィーズが、エラストの知らない男に手を引かれて通り過ぎるが、オルフィーズがエラストを無視したので、ラ・モンターニュに様子を見てくるように指示する。
 一人になると、リザンドルが現れ、流行のクーラントの曲を作曲したから聞いてほしいと歌って見せ、彼が考案したダンスのステップも披露する。ステップを教えてあげるというのを、断って、帰ってもらう。
 そこへオルフィーズがやってくる。ここで待ち合わせをしていることを先ほどの男に知られたくなかったから、知らないふりをして通り過ぎただけだと説明するが、エラストは嫉妬して、ぐずぐず言う。
 そこへ侮辱されたので決闘をしたいから、立会人になってほしいというアルカンドルがやってくる。断りの言葉を言っている間に、恋人のオルフィーズがいなくなる。

第一幕のバレ

 ペルメル球技[今日ののような遊び]に興じる人たちが、エラストを舞台から追い払う。踊りが一段落して、エラストが再び舞台に戻ろうとすると、物見高い人たちがエラストの周りを取り囲むので、エラストはまた舞台からひっこむ。

第二幕

 舞台に戻ったエラストのところへ、アルシップが現れ、ピケット[トランプゲームの一種]でゆうに勝てる勝負に完敗したことが悔しくて仕方がなく、エラストにその話をする。そこへラ・モンターニュが戻ってくる。
 田舎の女たちを厄介払いしたらすぐに来るから、ここで待っていてほしいという、オルフィーズからの伝言を伝える。
 そこに当時プレシユーズの間で流行っていた恋愛談義をしているオラントとクリメーヌが登場し、エラストの意見を聞きたがる。適当な意見を言って、彼女たちを追払う。
 エラストが二人の女性に囲まれていたのを見ていたオルフィーズは嫉妬して、逃げてしまう。
 そこに田舎の貴族に狩を邪魔されて悔しくてたまらないというドラントが現れ、エラストにしつこく話し掛ける。ドラントが立ち去る。

第二幕のバレ

 玉突きをしている人たちがエラストを引き止め、得点についてもめているので判定してほしいと頼む。エラストが逃げると、玉突きのポーズを取り入れたダンスが披露される。
 投石器で石を投げる人たちがやってきて、玉突きのダンスをしている人たちの邪魔をする。
 靴直し職人たちがやってきて、ダンスをしていた人たちを追払う。
 そこへ庭師が一人やってきて、靴直し職人たちを追払い、一人で踊る。

第三幕

 これまでとは別の日、明日にも恋人のオルフィーズが別の男と結婚させられそうになっているので、彼女の家に忍び込む約束をしているエラストが、召使のラ・モンターニュに一人で行くと話している。
 出かけようとしたところへ、学者のカリティデスが国王への請願書を渡してほしいと頼みにやってきて、エラストの出鼻をくじく。
 カリティデスが去ると、今度は国王への上申書を持ってきて無心するオルマンや、エラストが決闘を申し込まれたと聞いて助力しようとうるさく言うフィラントがやってくる。
 やっとこれらを振り切って、オルフィーズの家の前につく。そこへオルフィーズの伯父で、エラストとオルフィーズの仲を引き裂こうとしているダミスがいる。そのダミスに何人かが襲い掛かり、ダミスをエラストが助けたので、ダミスの考えが変わり、オルフィーズとの結婚を許す。それを聞いたエラスト、オルフィーズともに喜ぶ。

第三幕のバレ

 槍を手にした衛兵数人がきて、仮面をつけたダンサーを一人残らず追払い、退場する。
 四人の羊飼いと一人の羊飼いの娘が登場し、踊る。

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