『ギリシャ人とローマ人の祝祭』

Les Fêtes de Thalie

台本/ジャン=ルイ・フュズリエ
音楽/フランソワ・コラン・ド・ブラモン
ジャンル/バレエ・エロイック
初演/1723年
再演/1741年、53年、62年

解説

ジャンルとしてはバレエ・エロイック、つまり神話の英雄や半神を主人公とするという意味のエロイックという語が使われているが、実際には、共和政ローマのマルクス・アントニウスとクレオパトラ(第一アントレ)、古代ギリシャのスパルタのオリンピックのアスリートたち(第二アントレ)、古代ローマの騎士たち(第三アントレ)など、歴史的に実在した時代や国を背景にしている。
初演で大成功を収め、その後何度も再演されたほか、個別のアントレだけを取り出して上演されることが何度もあった。
作曲家のコラン・ド・ブラモンは、王の音楽の一員であったニコラ・コランの息子で、この父親と父の友人であったドラランドから音楽教育を受けた。典型的な宮廷音楽家の生涯をたどっている。1709年に王室礼拝堂(シャペル)のカウンターテナー、1717年王室(シャンブル)のシャントルになり、その間にソーの大夜会ではジャン=バティスト・ルソーの歌詞によるカンタータ『シルセ』で有名になり、1719年にシャンブルの音楽総監督、1726年にシャンブルの音楽監督の職を手に入れている。さらにルイ14世に寵愛されたドラランドのモテットの死後出版編集の責任者となった。
オペラ座の仕事としてはこの『ギリシャ人とローマ人の祝祭』(1723年)が初めての作品である。その他、成功しなかったが、『エンディミオン』(1731年、台本フォントネル)と『愛の神の諸性格』(1738年、台本フュズリエ他)がある。
カンタータ『シルセ』

プロローグ

舞台奥は記憶の神殿を表す。そこに着くには広い広場を通る。音楽のミューズのエラートの生徒たちが歴史のミューズのクリオの企てを助けるためにアポロンの命令で集まっている。
クリオが歴史に示された英雄たちの栄光を称えるようにエラートの生徒たちに命じている。歴史上の英雄たちもみんな恋をしているから、その喜びや悩みを音楽によって表すことができると言う。それに応えてエラートが生徒たちに愛の神々や魅力的な英雄たちを歌おうと答える。アポロンが来てこの企てに賛同し、テルプシコールも必要だと言う。一同で、歌とダンスによって英雄たちの希望、絶望、復讐を描き出そうと歌う。

第一アントレ:バッカス祭

舞台は、シシリア島のシドニュス川の河岸のローマ人の陣営である。
共和政ローマの政治家マルクス・アントニウスはクレオパトラを待っている。政敵ブルータスに仕えているクレオパトラの気持ちを変えさせるためである。解放奴隷のエロスが、クレオパトラの魅力に負けてしまうのではないかと心配するが、アントニウスはそんな心配は無用だと一蹴する。しかし、実は、アントニウスはクレオパトラを愛しているから呼んだのだった。クレオパトラはアントニウスの求愛に、あれこれ言い訳をして拒否しようとする。ついにクレオパトラは彼の求めに応じて、一同が愛の喜びを歌う。

第二アントレ:オリンピック競技

舞台はオリンピック競技の表彰場
ティメは、スパルタ王アジスから愛されているのに、車競争の勝利者であるアルシビアードを愛しているし、アルシビアードはアスパジーを愛しているので、嫉妬している。そこへアルシビアードが従者と一緒に来たので、物陰に隠れて話を聞くことにする。アルシビアードはアスパジーを愛しているし、彼女も密かにその愛に応えてくれると喜びを表す。従者に心変わりを非難されると、英雄というものはそんなものだと答える。それを聞いたティメは物陰から出てきて、アルシビアードを非難する。愛してくれるスパルタ王アジスと手を組んで復讐してやるという。勝利者を称える儀式が始まる。その役を引き受けたアスパジーが、アルシビアードにオリーブの王冠を差し出す。一同が歌とダンスで勝利者の栄光を称える。

第三アントレ:サトゥルヌス祭

舞台は、この祭のために飾られたメセナの屋敷の庭園である。
アントニウスの知り合いのメセナの親戚であるデリーが従者のプロティーヌと、今日はサトゥルヌス祭だからみんな平等になれると言う。目の前にいる奴隷のアルカスがじつはローマ人の騎士ティブルスでデリーを愛していることを彼女は知っている。アルカスが来たので、二人は気づかないふりをして、離れている。しかし二人に気づいたので、デリーに呼び止められる。デリーはアルカスがティブルスだと知った上で、お前の知っている人を愛しているのだと告白すると、アルカスは思わず、愛を告白する。するとデリーは、ティブルスを裏切るのかと言うので、デリーが愛するのはティブルスだと分かる。サトゥルヌス祭が始まり、二人は愛し合おうと歌う。最後にディヴェルティスマンになって終わる。

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