『ヴェネチアの祝祭』

Fêtes vénitiennes

台本/アントワーヌ・ダンシェ
音楽/アンドレ・カンプラ
ジャンル/オペラ=バレ
初演/1710年
再演/1713年21年
1731年40年50年59年

解説

1710年の初演の年には66回も連続上演されたほどの大成功を博した.上記の再演を見れば分かるように、人気レパートリーの一つであった。アントレは一定しておらず、順番が入れ替えられたり、第四アントレとして「オペラ」という幕が追加されたりしたが、1750年の再演あたりから、下記のような順番と幕の数になった。あまりに人気があったので、ヴォルテールは1749年に出版された『古今悲劇論』のなかでオペラには「若者たちに、精神よりも音に精通し、魂よりも耳を、崇高な思想よりもルラードを好み、われわれを喜ばせるいくつかの曲に支えられていれば、ときには最も異常で最もできの悪い作品でさえも評価することに慣れさせた」という欠陥があるにもかかわらず、「場面と合唱とダンスと合奏曲の幸運な混ぜ物やあの多彩な舞台美術から生じる魅力は最後には批判精神さえも征服してしまう」と嘆き、「『シンナ』が一度か二度上演されるのに対して、『ヴェネチアの祝祭』は三ヶ月も上演されるでしょう」とこの作品を引き合いに出している。

プロローグ

舞台はヴェネチア広場。カーニヴァルの神が愛の神やその従者である喜びの神々、遊びの神々の到来でカーニヴァルの始まりを歌う。フォリーが従者たちの踊りとともに登場して、理性を捨てて、人生の魅力を思う存分に味わいなさいと歌う。最後にディヴェルティスマンとして一同で「歌おう、そして楽しもう」と歌い踊る。

第一アントレ:サン=マルク広場の占い師たち

フランス人の騎士とボヘミア女に変装した若いヴェネチア娘の愛がテーマ。ボヘミア女に変装しているので、それを怪しんだボヘミア女に、若いヴェネチア娘のゼリーは、あるフランス人が自分の虜になって夜な夜な家の近くまできて言い寄るので、その男の本心がどうなのか占いをするボヘミア女に変装して、それを聞きだしてやろうと思っているのだと、話す。
そこへレアンドルがやってくる。彼は「ある女性の心を勝ち取った時には、もう別の勝利のことを考えている」と浮気者の心情を吐露する。ゼリーが占い師の姿でレアンドルの近づき、運勢を占ってあげようと誘う。最初は乗り気でなかったレアンドルも、浮気者を見抜かれると、いかに自分が浮気者か喋り始める。レアンドルは誇り高い新たな恋人を求めているとゼリーが言うと、彼は、どんなに心のガードの固い女性だって自由を奪って見せると豪語する。ゼリーは最後にレアンドルは願っている女性に今日会うだろうと予言して立去る。
ディヴェルティスマンが始まり、ゼリーが変わらぬ愛だけが人を幸せにする、愛の神に支配されてはいけないと歌い、みんなが踊る。 ディヴェルティスマンが終わってもレアンドルの愛する女性が現われないので、彼がゼリーに文句を言うと、ゼリーは仮面を取って、本当の姿を現し、レアンドルのことがよく分かったと言って立去る。

第二アントレ:舞踏会

ポーランドの王子であるアラミールは王子であるという自分の身分ではなく本当の自分を愛してくれる女性を探すために、フランスの若者に見せかけている。ヴェネチアでアラミールはイフィーズというヴェネチア娘と恋に落ちたが、彼女の本心を探るために、従者のテミールにポーランド王子の姿をさせて、誘惑させたのだが、彼女は王子など振り向きもしなかったのだった。二人がイフィーズを招待するために用意した舞踏会の話しをしていると、そのために呼ばれたフランスの音楽教師とダンス教師が登場する。
二人はテミールの前で、いかに自分のほうの技が素晴らしいかをあれこれ自慢する。音楽教師は海の嵐、休息のイメージ、死者の陰気な棲みか、ナイチンゲールの歌、小川の囁きなどを描けると主張し、ダンス教師のほうは荒れ狂う風、甘美な夢、恐ろしい夢、激怒した悪魔や亡霊、羊飼いたちの愛の情熱を描けると自慢する。
イフィーズがやって来て、アラミールに、「財産の輝きが愛に勝利できるのは平凡な魂の場合です」と、どんなに王子に言い寄られても、アラミールを愛する心に変わりはないと言う。アラミールは自分の本当の身分をそれとなく分からせようとして、「王子を愛してほしい」と言うので、イフィーズは心変わりの言い訳だと思い、怒り出してしまう。 そこにテミールが現われて、アラミールを王子と呼ぶので、驚いているイフィーズにアラミールが事の次第を説明する。舞踏会が始まり、みんな歌い踊る。

第三アントレ:道化師に扮した愛の神

若いフランス人エラストはヴェネチア娘のレオノールを愛しているが、内気のために、まだ言葉を交わしたことがない。道化師のフィランドが一肌脱いでエラストの愛の障害―レオノールにはいつも監視役がついていて話ができなかったのだ―を取り除いてやろうと言う。
レオノールと監視役のネリーヌが登場する。ネリーヌは「ご自分の身を守ることをよーくお考えくださいましね恋する男はみんなペテン師でございますよ」と言って、男の誘惑に引っかからないように口を酸っぱくして忠告を繰り返す。二人の会話から、レオノールがエラストの愛に気づいたのは、じつはネリーヌが気をつけるようにと諭したからだということが分かる。監視役がじつは仲介役になっていたという喜劇的要素が見れる。
道化師たちのお祭りが始まる。愛の神も道化師の姿をしている。愛の神は愛こそが生きる力の源だと歌い、みんなはそれに合わせて踊る。愛の神がアマディスの時代には変わらぬ心がもてはやされたが、今じゃ「心変わりしない恋人なんてもう流行でなくなったのさ愛の神は時代の欠陥に自分を合わせるのさ」と歌うと、エラストがレオノールに心変わりしない忠実な恋人もいると、自分の心を打ち明ける。ネリーヌはこれで自分のしてきたことが全部水の泡だと嘆く。
愛の神の歌にあわせて、歌ったり踊ったりする。

ディスコグラフィ

Deutsche Harmonia Mundi BVCD-1810-11
オーケストラ/リモージュ・バロック・アンサンブル
指揮/J-M.ハスラー
プロローグと最初の二つのアントレの
器楽音楽の一部だけが収録されている

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