『優雅なインドの国々』

Les Indes galantes

台本/ルイ・フュズリエ
音楽/ジャン=フィリップ・ラモー
ジャンル/オペラ=バレ
初演/1735年
再演/36年43年51年

解説

1735年8月の初演時にはプロローグと最初の二アントレ(「寛大なトルコ人」と「ペルーのインカ人たち」)だけで上演された.三回目の上演のときに、第三アントレの「花々、ペルシャの祝祭」が追加され、さらに翌年の1736年3月10日から、この第三アントレが変更されるとともに、第四アントレの「未開人たち」が追加された.タイトルに使われている「インド」とは「ヨーロッパ以外の国々」を指す総称である.フュズリエのこの台本は当時の人々のエキゾティック趣味に応えるものとなっている.

プロローグ

エベの宮殿の近くの森。青春の(美の)女神であるエベ(ヘベ)がフランス、イタリア、スペイン、ポーランドの若者たちを集め、ダンスを楽しんでいるところへ、軍神マルスの后であるベロナが乗り込んでくる。ベロナはこの平和な地で暮らす恋人たちに、栄光の女神の呼びかけに応えて戦士として立ち上がるべき時がきたと訴える。彼らはそれに応える。自分の家臣たちがベロナに連れ去られるのを見て、エベはヴェニュスの息子である愛の神に助けを求める。愛の神が従者のキューピッドたちを連れて到着する。ベロナに連れ去られた恋人たちの代わりを見つけてほしいというエベの呼びかけに、愛の神はキューピッドたちをヨーロッパから遠く離れたインドの国々に向かわせる。

第一アントレ:寛大なトルコ人

舞台は海で区切られたオスマン・パシャの宮殿を表す。愛する人との婚礼の場から誘拐され、ここに連れて来られたエミリーは日ごと身の不運を嘆いている。そこへオスマンがやってきて、いい加減に以前のことは忘れて、自分の愛を受け入れてくれるように諭すが、エミリーは決して首を縦に振らない。空が荒れ模様になり、それを見たエミリーは、その荒れた天候と自分の心の中の混乱を重ね合わせる。そこへ同じく囚われの身となったヴァレールがやってくる。エミリーが強奪されてからというもの、ヴァレールはあちこちを彷徨い、やっとエミリーがここにいることを見つけたのだった。
そこへオスマンがやってくる。どんなことでも甘んじて受けようとするヴァレールにオスマンはエミリーと自由を返すと言う。じつはオスマンはかつてヴァレールの奴隷であったが、オスマンが何者か知らないのにヴァレールが解放してくれたことがあったのだった。オスマンはそのお礼として、ヴァレールの船団に財宝を積んで、送り出そうとしているのだった。二人が礼の言葉を言おうとすると、オスマンは逃げるように立去る。
二人は船団に乗り込んで、祖国へ向かって出帆する。

第二アントレ:ペルーのインカ人

舞台は、険しい山でさえぎられたペルーの砂漠で、その山の頂上には、火山が口を開けている。スペイン人の将校であるカルロスはペルーのインカ人の姫ファニを愛している。カルロスはファニを自分のものにしたいのだが、ファニがなかなか彼を夫として認めてくれない。
一人になると、ファニは婚礼の神に早く二人を結び付けてくれるように懇願する。そこへユアスカールがやってきて、ファニが一人でいるのを見て、話し掛ける。ユアスカールはファニが彼らインカ人の侵略者であるスペイン人を愛しているとファニの心の中を言い当てたので、ファニはむきになって、彼らを怖れなさいと言う。ユアスカールはスペイン人は金をがつがつ貪る野蛮人だと言い放つ。
インカの人々、ペルー人の男女たち、犠牲司祭たちが集まり、太陽神への祭典が始まる。ユアスカールが太陽神への称賛の言葉を歌う。一同が踊っていると、突然に地震が起こり、火山が火を噴き、人々は怖れをなしてちりぢりになる。ユアスカールは逃げていこうとするファニに、自分についてくれば死を免れることができるから、ついて来るようにというが、ファニは拒否をする。そこにカルロスがやってきて、この大火災は決して天の怒りでも何でもなくて、ユアスカールの仕業だと教える。カルロスはユアスカールへの懲罰として、ファニと手を取り、二人の愛をユアスカールの前で見せつける。
一人取り残されたユアスカールが祭壇を冒涜すると、火山が再び火を噴き、燃える岩石を噴出して、ユアスカールを押しつぶす。

第三アントレ:花々、ペルシアの祝祭

舞台はペルシャの宮殿。王子のタクマスはアリの女奴隷のザイールに恋してしまい、彼女に会おうと、後宮に出入りする女商人に変装している。アリに誰何されたので、事情を説明する。タクマスがファティムにはもう気がないので、アリはファティムを手に入れようと考える。
後宮の女商人の姿をしたタクマスのほうへザイールが悩み事を抱えてやってくる。彼女はタクマスに気づかず、「人を愛してしまったなんて」と一人つぶやく。それを聞いたタクマスは、悩み事があるのなら話してごらんと誘う。ザイールは真実を言わないので、タクマスは自分の肖像画を見せて、彼女の心の中を読み取ろうとする。彼女はその肖像画を見るとうんざりした様子を示す。そこへザイールの恋人のファティムがポーランドの女奴隷の姿でやってくる。それを見てうろたえたザイールは逃げてしまう。ファティムは目の前にいる女商人が自分のライバルであるタクマスとは知らずに、本心を打ち明けようとするが、躊躇する。それを見てタクマスは侮辱を感じ、彼女を短剣で刺し殺そうとする。それをアリが制止し、ザイールもタクマスの肖像画を見たときの動揺は自分を虜にしているものへのうろたえだったと説明する。それを聞いて有頂天になったタクマスは、ファティムとアリの愛情を許し、一同の喜びの中で花の祭典が始まる。
花たち、女王としてのバラ、ボレアス(北風)、ゼフィロス(西風)が擬人化されて、花園を荒らすボレアスとそれを助けるゼフィロスという簡単な物語をバレによって演じる。

新しいアントレ:未開人たち

舞台はアメリカ。フランスとスペインの植民地に隣接する森。ここでまもなく和睦のための儀式が行われようとしている。だが未開人の戦士たちを指揮するアダリオは、未開人の国の首長の娘で、愛するジーマをフランス人将校とスペイン人将校が横取りしようとしているので心配でならない。フランス人将校のダモンとスペイン人将校のアルヴァールがジーマを口説こうとしてやってくる。ジーマを見つけると、二人はジーマに自分を選んでもらおうと互いをけなす。フランス人は浮気者で妻がどんなに美しくても、妻に忠実にすることを恥ずかしがる。スペイン人は疑い深く、妻を愛の絆ではなく鉄の鎖でがんじがらめにする。それを聞いて、ジーマはスペイン人は愛しすぎる、フランス人は愛し方が足りないと言って、拒否する。
そのとき隠れていたアダリオがでてきたので、ジーマは彼に手を差し出して、この人が愛する人だと告白する。アルヴァールが殺してやると威嚇すると、ダモンが止めろと制止する。ダモンに制止されて、アルヴァールは諦めて立去る。
アダリオとジーマは婚礼の神に二人を永遠の絆で結び付けに来てくれるように呼びかける二重唱を歌う。アマゾネスの服を着た女フランス人たち、フランス人戦士たち、未開の戦士たち、女未開人たち、植民地の羊飼いたちがでてきて、自然が作り出したままの無垢と平和のなかで、いたずらな欲望をもたずに愛し合おうと歌い、踊る。

ディスコグラフィ

harmonia mundi France 901367.69
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティ
エベ、ジーマ/クラロン・マクファーデン
ザイール/サンドリーヌ・ピオ
愛の神、ファニ/イザベル・プルナール
ファティム/ノエミ・リーム
エミリー/ミリアム・ルゲリ
ヴァレール、ダモン/ハワード・クルック
カルロス、タクマス/ジャン=ポール・フシェクール
ユアスカール、アルヴァール/ベルナール・ドゥレトレ
オスマン、アダリオ/ニコラ・リヴァン
OA 0923 D
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティ
エベ/ダニエレ・デ・ニエーゼ
愛の神/ヴァレリー・カバイユ
オスマン/ニコラ・カヴァリエ
エミリー/アンナ・マリア・パンツァレッラ
ヴァレール/ポール・アグニュー
ユアスカール/ネイサン・バーグ
カルロス/フランソワ・ピオリーノ
ザイール/サンドリーヌ・ピオ
ファティム/マリン・ハルテリウス
アダリオ/ニコラ・リヴァンク
ジーマ/パトリシア・プティボン

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