『イッセ』

Issé

台本/ラ・モット
音楽/デトゥッシュ
ジャンル/英雄牧歌劇
初演/1697年

解説

当初、1697年10月7日に三幕だけ宮廷で上演された.国王が大変気に入り、プロローグをつけて、1697年12月17日にヴェルサイユのトリアノンにて御前演奏させた.二週間後の12月30日には、王立音楽アカデミーがパリで初演した.10年後の1708年10月14日には、二幕、ディヴェルティスマン、ダンスが追加され、また元の音楽(とくに合唱部分)も若干書き直されて、再演されて、成功し、その後も何度も再演された.

プロローグ

舞台は古代ギリシャ人が西の世界の果てにあると想像していたヘスペリデス島の金の果実がなる園で、その入り口を一頭の竜が守っている.アトラスの娘たちで、その園を竜とともに守っているヘスペリスたちの一人がこの甘美な住処を人間たちの汚れた手に渡さないようにしましょう、愛の神も追放して、色恋に苦しむことがないようにしましょうと歌う.そこへヘラクレスがやって来て、竜を倒してしまう.ヘラクレスは彼女たちを言いなりにして果実を独り占めにしようとしに来たのではなく、人間たちに開放してやってほしいと言う.そこへヘラクレスの父であるジュピテルが降りてきて、ヘラクレスにこれまで十分な仕事をしてきたのだから、自分と一緒にしばらく休むようにと勧め、また民衆に果実を開放する.一同の喜びの踊りのなかで、プロローグが終わる.

第一幕

舞台は村落.フィレモンという名の羊飼いに変装しているアポロンが愛の苦しみを嘆いている.それを見た牧神パンが、今度の相手は誰かと尋ねる.羊飼いに変装しているアポロンは、イッセにアポロンだと知られないで、愛の力だけで気に入られたいのだと説明する.イッセが来たので、アポロンたちは身を隠す.
イッセが新しく芽生えたイッセとの愛の苦しみを歌う.愛の苦しみをかつての平和と無垢の時代と比較して嘆くイッセに、ドリスが愛によって結ばれる喜び以上に素敵なことがあるだろうかと歌う.イラスがイッセのために準備させた祝祭を知らせる音楽が聞こえてくる.
イラスがやって来て、みんな愛の支配にしたがっているのに、イッセの心だけがまだ抵抗しているから、愛の神に従うようにと呼びかける.だがイッセは頑なな態度を崩さず、可能な限り愛の神に抵抗しつづけるつもりだと答える.

第二幕

舞台はイッセの宮殿とその庭園.イッセが愛の神に自分を平和なままにしておいてほしいと訴えている.そこへフィレモン(アポロンが羊飼いに変装している)がやってくる.フィレモンはイッセに愛を告白するが、彼女の態度があまりに頑ななので、イラスを愛しているのだと信じる.イッセはフィレモンの勘違いを打ち消そうとするあまり、愛の矢に射ぬかれた自分の心の本心を漏らしそうになる.イッセはフィレモンから逃げようとするが、彼は愛に応えてくれとしつこく追いすがる.
パンがドリスに愛を誘うが、パンが熱心な割には、不変の愛を約束しないので、ドリスはお遊びの相手は嫌だと拒否するが、パンは浮気な恋人だけが本当に幸せなのさと言う.
パンや羊飼いの男女たちが、移り気な愛、浮気な愛こそ人を幸せにすると歌い踊る.

第三幕

舞台はドドーヌの森.このドドーヌの森は、樫の木が神々の神託を告げることでよく知られている.アポロンは、もうじきイッセがここに神託を伺いに来るから、それを聞いて、彼女の本心を知りたいのだと、パンに話す.そこへイラスが一人でやって来て、イッセが自分の愛に応えてくれないと嘆く.
そこへイッセがやって来る.ここに来てまで自分を侮辱しようとするのかとイラスがなじるので、イッセは神託を伺うために来たのだと説明する.イラスは自分の愛に応えてくれない冷たさを訴えると、イッセは愛の神のせいで、愛から逃げ回っているのに他の人を好きになったのだから仕方ないと説明する.イッセがイラスを哀れむようなことを言うので、イラスの激怒は募り、いつまでも目の前で不運を嘆いてやるといい捨てる.
浮気なパンは、完璧な愛を求めるドリスにしつこく迫る.試しにやってみよう、飽きたら分かれればいいじゃないかと言うパンに、ドリスはあなたが浮気な愛を私に教えるか、私があなたを忠実な恋人にするか、試してみましょうということになる.
ドドーヌの神官長や神官たちがやってきて、聖なる樫の木にイッセの愛の神託を求める.すると木々が葉を揺らして、神託が下る.

神託
イッセは最も美しい愛情に燃え尽きるであろう、
アポロンが彼女に愛されることを望んでいる.

イッセは、それを聞いて、嫌な恐ろしい予感がするが、一同はこれを祝福して、歌ったり踊ったりする.

第四幕

舞台は洞窟.アポロンがイッセに愛されたがっているという神託を聞いたイッセは一人で洞窟にやってきて、嫉妬深い神に目をつけられたことを嘆く.自分が愛している忠実な羊飼いを決して捨てるようなことはしないと誓う.
眠りの神がやってきて、イッセを眠らせ、夢の中でアポロンの良いイメージをイッセの中に作り上げようとする.
そこへイラスがやってきて、眠っているイッセに気づく.彼女の魅力に見とれていると、イッセが目を覚まし、アポロンとの相思相愛の甘美な夢を思い出して、驚く.
パンがやってきて、神託を聞いたフィレモン(アポロンが変装した羊飼い)がイッセの愛の疑念に苦しんでいると知らせる.イッセは愛の神に彼を安心させにいってほしいと呼びかける.

第五幕

舞台は人気のない場所.ドリスが一人で片想いや不実の愛に苦しむ人間の辛さを歌っている.パンがやってきて、どんなに魅力的な愛でも始まれば、一日のうちに終わりが来るものだから、変わらぬ愛があるなんて信じないで、気兼ねなしに愛し合おうよと呼びかけるが、ドリスは悲しげである.
イッセとフィレモンがやって来る.イッセはフィレモンに変わらぬ愛を誓うが、フィレモンは神託のことが気になって、疑いを払拭できない.イッセはアポロンに自分を誘惑してみてほしいと呼びかける.すると舞台が壮麗な宮殿に変わり、時の神たちが雲に乗って降りてくる.
それを見たイッセはアポロンが激怒して復讐をしに来たのだと思い、逃げようと言うが、フィレモンはアポロンを譲歩させるか自分が死ぬかのどちらかだと言って、とどまる.それを見てイッセが自分のほうを復讐の相手にしてくれと、フィレモンをかばうので、フィレモンはついに正体を明らかにして、自分がアポロンだと名乗る.イッセは喜び、アポロンに愛してもらえるのなら、こんな苦しみも貴重だと歌う.アポロンが時の神たちに命じて、祝祭を呼びかける.
最後はアポロンの栄光を称えたディヴェルティスマンで終わる.

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