『ジェフテ』

Jephté

台本/ペルグラン
音楽/モンテクレール
ジャンル/音楽悲劇
初演/1732年
再演/1734年37年38年
1740年44年61年

解説

旧約聖書の『士師記』にもとづいてペルグランが台本を書き、モンテクレールが音楽をつけたオペラである。ジェフテはヨルダン川の東に住むイスラエル人の部族の総称であるギレアド人に属するが、長男でありながら、母親が遊女であったことから、他の異母兄弟たちから、財産権を奪うために追放されていた。当時イスラエル人は神の教えに背いたために、アンモン人に隷属していたが、ジェフテは彼らに隷属することを拒否していた。
アンモン人がイスラエルに戦闘を仕掛けてきたことから、ジェフテは、イスラエルの長老たち(つまりジェフテの異母兄弟たち)から解放軍の指揮官になってくれと懇願されて、それを受け入れた。アンモン王との交渉が決裂して、戦闘が始まるという時に、ジェフテは必勝祈願のために、もし神がジェフテに勝利させてくだされば、帰還したとき最初に出会った者を生贄に捧げるという誓約を行い、神に聞き入れられた。そして戦闘に勝利して帰還した時に最初に見たのが自分の娘であったという。
ペルグランの台本では、自分の娘を生贄に捧げねばならない父親としてのジェフテや母親アルマジー、そして祖国のために進んで生贄になろうとするイフィーズの苦悩に満ちた姿が描き出されている。このオペラは初演から30年足らずで100回も上演される成功を獲得した。

プロローグ

すべての神話の神々が集まっているスペクタクルのための場所で、アポロンが神話の神々の甘美な音楽や歌や踊りで人間たちの歓心を惹きつけて、彼らをいつまでも支配できるようにしようと企てているところへ、真実の女神が徳の神々を連れてやってきて、彼らを「人を惑わす亡霊たち、詐欺の弟子たち」と非難し、ルイ15世が幼少の頃から大事にしてくれた自分の支配がこの地に行き渡り、王国が豊かになるようにしたいから、教訓としてジェフテの話をみんな見せようと言う。

第一幕

新しいイスラエルの長となったジェフテは、ヨルダン川をはさんでアンモン人とイスラエル人との間で行われている戦場にやってきて、イスラエル人陣営の悲惨な状態に驚く。アモン率いるアンモン人の陣営は今にもヨルダン川を渡ってこようという戦況にある。神官長のフィネとともに彼らは神にご加護を祈願する。ジェフテが神に戦闘から帰還して最初に出会った者を神に生贄に捧げると誓うと、ヨルダン川が二つに割れ、彼の軍勢がヨルダン川をわたることができるようになり、彼らはアンモン人陣営に戦闘を仕掛けて勝利した。

第二幕

アンモン人の王子のアモンはジェフテの宮殿に囚人として捕らわれている。戦闘の混乱を見て、相談相手のアブネールが逃亡を勧めるが、アモンは相手陣営の長の娘であるイフィーズに恋してしまい、逃げようとしない。アモンはイフィーズに恋心を告白するが、彼女は拒否する。しかし一人になるとイフィーズも彼を愛していることを認める。彼女はそれがあまりにも罪深いことだと感じて、母親のアルマジーにそのことを告白する。母親は夢で娘のイフィーズが神の罰を受けて、雷を落とされるのを見て、恐れおののいている。だがそこへジェフテ勝利の知らせが届く。歓喜したマスファの住民ととともにイフィーズは真っ先にジェフテの帰還を迎えにいく。

第三幕

ジェフテは帰還して最初に見た女が誰かも分からず、生贄のことを言えなかったと苦しみ、あのような誓いをたてたことを悔やんでいる。アルマジーが彼を迎えにやってきて、幼少の頃から会っていなかった娘を紹介すると、それが最初に見た女だったことを知って、愕然とする。やっと妻にだけは事の次第を話すが、二人の苦悩は深まるばかり。ジェフテの戴冠式が行われるも、アモンが再び戦闘態勢を整えつつあるという知らせが入る。

第四幕

小川の流れる提案でイフィは不幸を嘆き悲しんでいる。羊飼い男女の歌と踊りでやっと悲しみが和らげられる。アルマジーが彼女に真実を知らせる。イフィーズは死を覚悟するが、そこへアモンがやってきて、反乱軍を使って彼女を救出すると約束する。イフィーズは彼に恋心を告白するが、自分の義務を果たすことを選ぶ。アモンは神に復讐することを誓う。

第五幕

絶望したアルマジーは神殿を彷徨っている。そこへジェフテがやってきて、二人で神に祈願する。打ちのめされたジェフテが一人残っているところへ、イフィーズがやって来て、嫌悪すべき敵が自分の心のなかに愛の炎を生じさせたのだから、自分が生贄になるのは当然すぎるくらい当然なのだと父親に生贄犠牲を成就することを求める。アモンが反乱軍の先頭になって犠牲祭を阻止しようとするが、神の雷を受ける。フィネが再び儀式を再開すると、再び神の雷によって中断される。フィネは神がイフィーズをその後悔の念ゆえに助けることにしたと告げる。一同は神の栄光を歌う。

ディスコグラフィ

Harmonia Mundi HMX 2901424.25
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティ
ジェフテ/ジャック・ボナ
イフィーズ/ソフィー・ダヌマン
アルマジー/クレール・ブリュア
フィネ/ニコラス・リヴァン
アモン/マーク・パドモア

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