『オンファル』

Omphale

台本/ラ・モット
音楽/デトゥッシュ
ジャンル/音楽悲劇
初演/1701年
再演/1702年15年
1721年33年52年

解説

1752年の再演は、グリムがこれを見てフランス・オペラを批判する『「オンファル」に関する手紙』を書き、『メルキュール・ド・フランス』の編集長であったレナル師とグリム/ルソーとの間で論争になった.これは、有名なブッフォン論争の前哨戦であったと言える.

プロローグ

愛の神が、美の女神たちや喜びの神々に囲まれて登場する。地上の神々は花々を身にまとって舞台の両袖に座っている。天界の神々は上空の雲の上に座っている。奥には嫉妬の女神の洞窟が見え、そのなかには彼女が怒りの女神や絶望の神ととともに鎖につながれている。
美の女神たちが、愛こそ若い娘たちにふさわしい、愛することができる時間はすぐに過ぎ去るから、愛に伴う苦しみに怯えないで、愛しなさいと歌い、愛の神を賞賛する。 そこへジュピテル(ゼウス)の妻ジュノン(ヘラ)が降りてくる。ジュノンは、愛の神の仕業で、ギリシャ最大の英雄アルシード(ヘラクレス)を愛したが、アルシードが応えてくれなかったので、辛い思いをしてきた。だから、アルシードにも自分と同じ苦しみを味わわせて欲しいと愛の神に頼みに来たのだ。愛の神はそれに応えて、嫉妬の女神にアルシードの心を乱しに行くように命ずる。
嫉妬の女神とその従者たちが愛の神の命令を実行するべく、飛んでいく。それを美の女神たちが歌って送り出す。

第一幕

舞台は、ジュピテルの神殿の前に、アルシードを称えて建てられた凱旋門。
エカリア国王の息子であるイフィスは、栄光に満ちたアルシードのようになりたいと思っていたが、リュディアの女王オンファルを愛してしまい、何の戦功も挙げられないでいることで自分を不甲斐ないと恥じている。
アルシードが、女王オンファルに見せる競技の準備をするように、従者たちに命ずる。アルシードがため息をついているのを見て、イフィスがその理由を尋ねると、彼はある女性を愛していて、どんな功績を挙げても心が空しいのだと答える。そしてその相手は女王オンファルだと言う。イフィスが愛に溺れるアルシードを暗にさげすむようなことを言うと、アルシードはこの状態から抜け出たいから手助けしてくれと頼む。そこへオンファルが供の者たちを引き連れてやって来る。
オンファルは、アルシードのおかげで怪物から国が解放されたと、感謝の言葉を述べる。司祭長があれこれアルシードの功績を数え上げる。民衆がそれに呼応する。ついにアルシードはオンファルに自分の気持ちを告白する。だが、オンファルはそれには応えず、ディヴェルティスマンを切り上げて、一同でジュピテルの神殿に打ち倒された怪物の死骸を捧げに行く。

第二幕

オンファルの侍女のセフィーズとドリスが、告白をしたアルシードの愛に応えるようにオンファルに促す。だがオンファルはアルシードにはたいへんな恩義があるが、他に愛する人がいるので、愛することができないと言う。それはエカリア国王の息子イフィスだと分かる。
イフィスがやって来て、オンファルに競技会の開会を知らせるとともに、アルシードの愛情を伝える。オンファルはすでに別の男を愛しているから、アルシードの入る余地はないと答える。アルシードが愛されていないことを知って、イフィスは混乱する。オンファルにはアルシードを選ぶように勧めながら、内心は喜びもある。だがイフィスはしつこくアルシードを勧めているうち、我慢できなくなり、本当の気持ちを告白してしまう。
アルシードが反乱者たちを捕らえ、戦利品とともに、やって来る.アルシードが自分の愛を受け入れて欲しいと告白し、それに応えてテーバイ人たちが祝福して踊る.そこへ悪魔たちがやって来て、祝祭を混乱に陥れる.アルジーヌが竜に乗ってやってくる.
アルシードを自分のものにしようとするアルジーヌはどんなことをしてでも手に入れてやるとすごむ.だがアルシードも今度は自分がアルジーヌを憎む番だと応える.アルシードとオンファルの中を疑うアルジーヌは、もし二人が愛し合っているのなら、オンファルを打ち倒してやろうと考える。

第三幕

舞台はオンファルの庭園。オンファルが一人で愛する人に苦しみを鎮めてほしいと呼びかける。そこにアルジーヌが来る。オンファルはアルジーヌに聞かれていることに気づかず、愛を告白したら恋人に身の危険があったから黙っていたのだと、一人で辛い思いを吐露しつづける。オンファルが呼びかけている相手がアルシードだと思い込んだアルジーヌは、オンファルとアルシードが相思相愛だと勘違いし、オンファルを亡き者にしようとする。
オンファルは競技会を見るために花で飾られた王座に座っている。セフィーズや合唱が女王としてのオンファルの誕生日を祝福して、愛の喜びを歌う。だがオンファルは一人になりたがり、一同を退場させる。
アルジーヌが短剣をもって登場し、オンファルを一突きにしようとする。そこへアルシードが登場して、彼女から短剣を奪い取る。アルジーヌは自分を殺せと叫ぶ。アルシードはアルジーヌの激怒をいくら向けてくれてもいいが、愛するオンファルだけは尊重してくれるようにと頼む。けっして自分が愛されることがないのを知ったアルジーヌは、アルシードから短剣を奪い返すと、自分を殺せ、さもなければ自分がオンファルを殺すと迫る。アルシードが躊躇していると、さらに激昂したアルジーヌは悪魔たちを使ってオンファルを連れ去ってしまう。

第四幕

舞台は人気のないところ。イフィスが一人で愛する人に愛されない苦悩を嘆いている。そこにアルシードが絶望して走ってくる。オンファルが他の男を愛しているということを知ったからである。彼は絶望のあまり、その男を殺してやりたいと、イフィスに言う。
アルジーヌがアルシードについてきたので、アルジーヌなら技によってオンファルが誰を愛しているのか知ることができるだろうから、教えてほしいとしつこく頼む。
アルジーヌがそれに折れて、魔術師たちを呼び、魔術の儀式を行い、冥界の王に呼びかける。するとホメロスが『オデュッセウス』のなかで描いたように、手に金の王杖をもち、神官の服を着たティレジアの亡霊が現われる。
亡霊はアルジーヌにいくら魔術を使っても愛を忘れることはできず、死ぬ以外には薬はないと答える。アルシードには彼のライバルが勝利するだろうという予言をする。
それに絶望したアルシードは、さきほど打ち倒した怪物に、甦って、この地を殺戮と恐怖の場にするように命じ、父親であるジュピテルには、ライバルに雷を落としてほしいと呼びかける。さらに自分の死をも望む。

第五幕

舞台は愛の神の神殿。オンファルが、アルシードがいたためにイフィスに愛を告白できなかったから、アルシードとアルジーヌをくっつけて、遠ざけてほしいと、愛の神に祈願する。オンファルが愛の神の女神官たちと祈っていると、それが通じたのか、イフィスがやって来る。
オンファルはついにイフィスに愛を告白する。イフィスも愛を告白し、二人は喜びに有頂天になる。
そこにアルシードがやって来る。アルシードはオンファルに気づき、激怒して、彼女に抱きつこうとするが、そのとき、イフィスがアルシードを止める。彼がアルシードに対してとった反抗的行為に、アルシードはオンファルの愛している男がイフィスであることに気づく。いったんは激怒するが、アルシードの父であるジュピテルの準備した雷の轟くのを聞いて、我に帰り、本来の英雄の姿に戻る。アルジーヌが最後まで引きとめようとするが、それを振り切って、出立する。
一人残されたアルジーヌは最後の最後まで愛するアルシードに無視されつづけたことに激怒し、愛の神の神殿と祭壇を破壊するように、怒りの女神たちに命ずる。

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