『遍歴騎士』

Les Paladins

台本/モンテクール(?)
音楽/ジャン=フィリップ・ラモー
ジャンル/コメディ=バレ
初演/1760年

解説

ラモーはこの作品で、もはや神々も、ニンフも、羊飼いたちもおらず、神話的世界でもなければ、パストラルでもない、遍歴騎士という現実の歴史に題材をとった喜劇的主題を扱っている。ジャン=フランソワ・デュプラ・ド・モンティクールが台本作家といわれているが、これも推定によるもので、通称ジャンティ=ベルナールと呼ばれるピエール=ジョゼフ・ベルナールとか、『ピグマリオン』の台本を書いたバロ・ド・サヴォなどの可能性もあると考えられている。また内容的には、ラ・フォンテーヌの『韻文物語集』第三巻(1671年)の「銀貨と小石を振り分ける子犬」を原作とすると一般的には言われるが、モリエールの『亭主学校』との類似も否定できない。
 初演は成功とはいかなかった。15回上演された後、謝肉祭の休演をはさんで、『ダルダニュス』と変更になった。こちらの方は大成功を収め、46回も上演が続いた。オペラ座は悲劇的なもの高貴なものが上演される場と考える聴衆の固定観念を打ち破ることができなかったと見ることもできよう。  

第一幕

美しいアルジは年老いた元老院議員のアンセルムの寂しい城に幽閉されている。彼女は自分の意思に反してこの年寄りのものになることが約束されているのだ。絶望した彼女は、愛する若い遍歴騎士のアティスと再会することを夢見ている。女主人の苦しみを知る侍女のネリーヌは、アンセルムに雇われて彼らを監視しているオルカンを丸め込もうとする。彼女は彼が自分を焦がれているのをよく知っているからだ。だが彼はなかなか折れない。
 遠くにミュゼットの甘美な音楽が突然聞こえてくる。それは巡礼者に変装した遍歴騎士たちの一団の思いがけない到着を知らせるものだった。その中の一人がとくに魅力的で、アルジにはそれがアティスその人だと分かった。アティスは妖精のマントの助けを得て彼女を解放するためにやってきたのだった。だが武装したオルカンが彼らを襲う。最初はみなを震え上がらせたオルカンだが、実は彼自身も恐怖で死にそうなのだ。オルカンはアティスと巡礼者たちから武器を取り上げられてしまう。ところがそこへアンセルムがやってくることになり、一同は逃げ出してしまう。

第二幕

舞台は城館の近くの小集落。彼が愛する女のもとへ行こうとしていると、武器を剥ぎ取られほうほうの体で逃げてきたオルカンが、事の次第を告げ、逃げるように主人に勧める。アルジが巡礼者に変装して現れ、遍歴騎士アティスの素晴らしさを誇らしげに話す。アンセルムは自分の負けを受け入れたふりをして、騙そうとして、まもなくオルカンが彼女のために宝物を持ってくるだろうと告げる。実は、彼女をその場で殺すための短刀だったのだ。オルカンはこの忌まわしい役目を果たすことができず、すべてを聞いて知っていたネリーヌに引き止められる。ネリーヌは自分がオルカンのことを熱愛していると信じさせたのだ。そこへ遍歴騎士たちが変装した悪魔やフリアイたちが現れて、オルカンから短刀と毒を取り上げてしまう。彼らはオルカンを逃がすと、優しい遍歴騎士の姿に戻って、アルジとアティスの結びつきを祝福する。だがアンセルムが戻ってきたため、遍歴騎士たちは城の中に閉じこもって、アルジを守ることにする。

第三幕

 アンセルムは農民たちや使用人たちを使って自分の城を襲撃させる。みんなが城壁にはしごをかけて這い登ろうとしたとき、城が消えて、中国風の壮麗な宮殿に変わる。(→)妖精マントの仕業だった。そこに一人取り残されたアンセルムの前にモール人の奴隷が現れ、自分がこの宮殿の主人だと告げる。アンセルムは彼/彼女の足もとに身を投げる。モール人は自分に忠誠を誓うならこの財宝をすべて与えようと言う。彼が躊躇していると、愛のために自由を犠牲にするように要求する。モール人が合図すると、塔が彼のまわりで踊りだす。そのとき、妖精マントはアルジを来さる。アンセルムは混乱し、自分がどこにいるのか分らない。アルジは彼の移り気をからかう。アンセルムは恥ずかしさと怒りで死にそうになる。マントは彼を解放してやる。アルジとアティスが遍歴騎士たちとともに現れ、全員で喜びのディヴェルティスマンを踊って、幕となる。

ディスコグラフィ

OA 0938 D
合唱・オーケストラ/Les Arts Florissants
指揮/ウィリアム・クリスティー
アティス/トピ・レーティプー
アルジ/ステファニー・ドゥストラック
アンセルム/ルネ・シレール
オルカン/ロラン・ナウリ
ネリーヌ/サンドリーヌ・オピー
マント/フランソワ・ピオリーノ
遍歴騎士/エミリアーノ・ゴンサレス・トロ

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