『プラテ』

Platée

台本/ル・ヴァロワ・ドルヴィル
音楽/ジャン=フィリップ・ラモー
ジャンル/音楽喜劇
初演/1745年
再演/49年54年
Avant-Scène Opéraより

解説

『プラテ』は,王太子とスペイン王女との婚礼を祝う祝典の一環として,1745年3月31日にヴェルサイユで初演されているが、この祝典ではラモーとヴォルテールのコメディ=バレ『ナヴァール姫』,リュリの『テゼ』,ロワイエの『ザイード』,ルベルとフランクールの『ゼランドル』,ムレの『ラゴンドの恋』もこの祝典で上演されている。
 『プラテ』はジャック・オトローの喜劇『プラテ,別名,嫉妬深いジュノン』を原作としてル・ヴァロワ・ドルヴィルが書いた台本による音楽喜劇であるが,comédie lyriqueという呼称は現在の音楽学者たちによるもので,当初はバレ=ブッフォンとかコメディ=バレと呼ばれた.第二幕のフォリーによるダカーポ・アリアは明らかにイタリアオペラを意識して作られている.おそらくコメディだからトラジェディ・リリックの伝統を無視して、このような冒険が可能になったのだと思われる.ラモーは台本の詩を音楽化しやすいように改編の自由を得るため、オトローから著作権(もちろん当時はこういう名前ではないが)を買い取り,ドルヴィルに書き換えを指示して曲をつけていった.おそらくリュリ=キノーのそれに比較しうるようなラモー=ル・ヴァロワ・ドルヴィルの共同作業の賜物といえよう.  

プロローグ:喜劇の誕生

ギリシャのぶどう園で葡萄摘みたちがサチュロスとメナードに励まされながら働いている.ワインの蒸気にあてられたテスピスが芝草の上で眠っている.みんなが彼を起して,バッカスの栄光を歌うように促す。テスピスは歌いだすが,すぐに彼のからかい心がむくむくと頭をもたげてくる.彼は,メナードがあまり忠実ではないし,サチュロスはあまり嫉妬深くないことを知っていたのだ.テスピスに自分たちに都合の悪いことをばらされたら困る一同は,彼にもう一度眠ってくれと懇願する.
 二人の人物が彼を起こしにやってくる:喜劇のムーサのタレイアと,笑いと小唄の神のモミュスである.彼らは人間と神々を矯正するために彼らの欠点を馬鹿にするような出し物を創ってくれとテスピスに頼む.そして喜劇が誕生することになる.
 モミュスはこの新しいジャンルの試みあたってテスピスに助力しようと申し出る.彼らは浮気者のジュピテルと短気で嫉妬深い彼の妻ジュノンの騒々しい関係から面白いエピソードをまとめてみようというのだ.それがこの後上演されることになるプラテの物語である.
 愛の神がこの企てに協力を申し出る.農民たち、サチュロスたち,メナードたちがバッカス,モミュス、愛の神へにぎやかなオマージュを捧げる.

第一幕

舞台はその頂にバッカスの神殿があるキテロン山のふもとの田園地帯.周囲には大きな沼が広がっている.激しい嵐がこの一帯を襲い、キテンロン王がだれか罪深い人間たちを罰するつもりなのかと,神の怒りの理由を問い質す。
 メルキュールが天界から降りてきてその困惑を国王に打ち明ける.轟いている雷はたしかにジュピテルのもので、それはジュノンの嫉妬から生じたいつもの言い争いに苛立った腹いせなのだという.キテロンはジュノンの怒りを鎮める面白い計略を提案する.ジュノンの不満が根拠のないことだということを分らせるために,ジュノンが見たら笑い出して嫉妬心をなくしてしまうほど滑稽な相手をジュピテルが熱愛しているふりをさせたらどうだというのである.
 この策略の犠牲者はすぐに見つかった.隣の沼にプラテという年取ったナイアードがいる.彼女は醜いのに,人を惹きつけてやまない魅力を自分はもっているのだと思い込んでいる.だから簡単にこの計略に引っかかるだろうと,彼らは考えたのだ.
 プラテは媚態を示しながら登場してきて,侍女のクラリーヌに心の秘密を打ち明ける。彼女はキテロン王に夢中なのだという.彼が彼女を一生懸命に避けようとしているのを逆に愛の炎だと勘違いしているのだ.蛙たちとカッコウたちがこの知らせをにぎやかに祝福する。
  キテロン王が登場すると,プラテはあからさまな言葉で彼を誘惑しようとするが,キテロンは理解できないふりをする.無礼な敬意に頭に来たプラテは激しく非難する。それに蛙たちのにぎやかな合唱が追い討ちをかける.
 メルキュールが言い争いを止めに入り、ジュピテルはプラテに恋い焦がれていると知らせる。有頂天になったプラテはすぐにキテロンのことは忘れてしまう。彼女はジュピテルを迎える準備をし,新たな嵐をもたらそうとする嫉妬深いジュノンに悪態をつく。ジュノンが脅かすつもりで降らせた滝のような雨も,プラテの宮廷をなしている沼のニンフたちには願ってもないことで,歌と踊りで悦びを表す。だが猛烈な北風には両生類たちを水の王国に退散させることになる.

第二幕

メルキュールがジュノンを嘘で騙したと,キテロンに説明する。その結果、ジュノンは遠方のアテネまで浮気者の夫を探しに出かけたのだ.それでジュピテルはプラテのところに来ることができるようになる.
 ジュピテルが天界から降りてくる。プラテは今か今かと待っている.だがジュピテルは雲の中に身を隠し,ロバになったり,ミミズクに変身したりする.それからやっと突然の雷と稲妻でプラテを驚かせて,姿を現す.この奇妙な口説き方もプラテを怖じけつかせることはなく,やすやすと征服される.
 ジュピテルの命令でモミュスはプラテを称える祝典を準備する。狂気の女神(ラ・フォリー)がアポロンから奪ってきたばかりの竪琴をもって登場し,パロディーに満ちた歌をかき鳴らし,陽気な狂人や悲しげな狂人たちの踊りを司る。

第三幕

激怒したジュノンはやっとジュピテルの居所を突き止める.自分を騙したことでメルキュールをこっぴどくしかりつけるが,ジュピテルが彼女を鎮めるのに成功する。計略のことは知らせずに,彼は隠れて舞台を見ているようにジュノンを説得する.
 プラテの婚礼の行列が勝ち誇ったように登場する.彼女はヴェールをかぶり,蛙たちが曳く車に乗っている.プラテはジュピテルとともに彼らを祝福する人々の行列に立ち会わなければならない.愛の神に変装したモミュス,狂気の女神,キテロン,彼の従者たち、周辺のサチュロスたちとドリュアデスが次々とやってくる.
 ジュピテルがプラテに忠実な愛を誓おうというその瞬間に,ジュノンが姿を現し,プラテに飛び掛り,彼女のヴェールをとりさり,彼女を見て大笑いする.ジュピテルとジュノンはすぐに和解する.神々はオリンポス山に戻っていく。プラテが一人取り残されて,狂気の女神にそそのかされた農民たちに馬鹿にされる.この不幸者は彼らを黙らせようとするが無駄で,今度はキテロンを非難するが彼には逃げられ,最後は沼の底に一目散に消え去る.

ディスコグラフィ

TDBA-0058
合唱・オーケストラ/Les MUsiciens du Louvre-Grenoble
指揮/マルク・ミンコウスキ
プラテ/ポール・アニュー
フォリー/ミレイユ・ドゥランシュ
テスピス・メルキュール/イアン・ブロン
ジュピテル/ヴァンサン・ルテクシエ
キテロン/ローラン・ナウリ
愛の神/ヴァレリー・ガバーユ
モミュス/フランク・リガリネル
ジュノン/ドリス・ランプレヒト
『プラテ』第一幕第三場

『プラテ』フォリーのアリエット

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