『プシシェ』

Psyché

台本/トマ・コルネイユ
音楽/リュリ
ジャンル/音楽悲劇
初演/1678年
再演/1703年13年

解説

前年の『イジス』がモンテスパン夫人をあてこすっているとされて、キノーが解任され、ボワローたちの勢力からトマ・コルネイユを押し付けられることになった。ずっとこの『プシシェ』と次回作の『ベレロフォン』はトマ・コルネイユの作だとされてきたが、1741年にフォントネルが若き頃に叔父のトマ・コルネイユに依頼されてディヴェルティスマン以外を書いたと公表したことで、それ以降はフォントネルの著作集にも収録されるようになった。

プロローグ

舞台は前面が田園のある場所で、奥が陽がさしている岩山を表す。この岩山の向こうに、海が見える。フロールが、木々と果物の神ヴェルチューヌ、水の神パレモンを伴って舞台中央に登場する。二人の神のどちらも神々の一団を率いている。一方はドリュアデスとシルヴァンたち、他方は河の神々とナイアーデスたち。
春の女神のフロール、ヴェルチューヌ、パレモン、水の神々、ドリュアデス、シルヴァンたちが平和と繁栄の再来を称賛するために歌ったり踊ったりする。彼らは地上の偉大な国王に感謝し、愛の喜びに招待する。彼らは地上に愛を吹き込むために降りてくるようにヴェニュスを呼ぶ。ヴェニュスは邪魔されるのが好きではない。輝くばかりの美しさがみんなの称賛の的になっている若い姫のプシシェにたいして腹を立てていると打ち明ける。この人間にみんなの注目が集まっていることに嫉妬し、自分に向けられるべき敬意が無視されていることで不満を抱いている彼女は、復讐のためにプシシェを罰してやろうと決める。すでに地上を恐怖に陥れるために巨大な蛇を送ったヴェニュスは息子の愛の神に、プシシェが彼女にふさわしくない夫に恋をするように仕向けて、悲惨な生活を送る苦しみを味わわせることで復讐の手助けをするように命じる。

第一幕

山の麓
プシシェの姉たちのアグロールとシディップは地上を荒廃させた蛇の話をしている。平静を取り戻すためにこの怪物への生贄が命じられ、プシシェは近くの祭壇にそれを捧げなければならない。彼女たちは平穏な日々が戻ってくるのを見れると安心と喜びを表現する。彼女たちはプシシェがすでに恋に落ちたのだろうかと尋ねあっている。
リュカスが怖ろしい知らせを持ってやってくる。プシシェが蛇への生贄として捧げられるという神託が下されたのだ。人々がプシシェの悲劇的な運命を歎いて涙に暮れている。この無垢な美女の運命を歎くイタリア語の歌を歌う。プシシェがやってきて彼らの悲しみの原因を尋ねる。姉たちは打ちのめされ、言葉もなく退場する。国王がひどく狼狽してやってきて、お気に入りの娘にお前は死ぬことになったと告げる。プシシェはその義務に従い、民衆の幸せのために神託に従うつもりだとけなげにも答える。彼女は父に永久の別れをいい、祭壇に上る。だが蛇の代わりに、ゼフィールがプシシェを空中に連れ去る。

第二幕

建設中の宮殿
愛の神の求めに応じて、ヴュルカヌスとキュプロクスたちが壮麗な宮殿の建設のために働いている。ゼフィールがやってきて、急ぐように激励し、宮殿はプシシェのためのものだと知らせる。このニュースに喜んだ怖ろしい生き物たちは愛の神と同じくらいに優しい主人に仕えることになるという考えに大喜びする。ヴェニュスが夫のヴュルカヌスさえもプシシェのために働いていることを憤慨する。ヴュルカヌスはお前は一度も妻らしいところがなかったし、それでも何ひとつ不満を言ったことがないと彼女に言う。言い合いになるが、ヴュルカヌスとキュプロクスたちは仕事を続ける。ヴェニュスは怒って立ち去る。
プシシェがやってきて、輝くばかりの壮麗な宮殿を発見する。驚いた彼女は自分はここで死ぬのだろうかと自問し、苦痛が早く終わってくれたらいいのにと思う。プシシェには見えないニンフたちとゼフィールたちが彼女に話しかけ、愛に屈っしてもいいが、恐怖には屈しないようにという。彼らは彼女がある神に愛されていると教える。同じように彼女には見えない愛の神が彼女に愛を告白して、自分がこの宮殿を作ったと言う。ここでは彼は彼女に姿を見せることができるが、人間としてである。プシシェは彼を見ることを受け容れる。
宮殿の中で、愛の神は美しい若者の姿で現れ、彼女に愛を告白する。プシシェは彼の言葉と姿に心奪われるが、本当の彼は何者なのだろうと自問する。愛の神が言うには、もし彼が本当は何者であるかを彼女が知ったら、彼女はきっとその神としての姿を見ようとするだろうが、それは運命の神から禁じられているのだ。ニンフたちが彼のところにやってきて、プシシェにこれから体験することになる愛の至福で満足するように説得する。

第三幕

愛の神の宮殿の一室
ヴェニュスがプシシェのために愛の神が建てた壮麗な宮殿を見て激怒する。怒りと嫉妬に狂った彼女はプシシェが運命の神の掟を破壊し、神の姿の愛の神を見ようとして自分自身の転落を引き起こすことになるようにしてやると決意する。
プシシェは新しい幸福を喜ぶが、疑いにとらえられて、愛する男が何者かという激しい好奇心を抱く。ヴェニュスは同情を装って、それを知る手段を彼女に教える。彼女はランプを与えて、プシシェを愛する男が寝ている部屋に彼女を導く。プシシェはその部屋に入って、翼を持った子どもを見つける。愛の神キューピッドだと分かって彼女は呆然となる。幸福な好運の喜びに震えて、彼女はベッドの上に横たわり、ランプを落としてしまい、それが燃え上がる。愛の神が目を覚まし、彼女が運命の神の掟を破ったことに打ちのめされて、消え去る。宮殿はなくなり、プシシェは一人で砂漠に取り残される。不注意なおきて破りを歎き、愛する男から捨てられたことを悲嘆する。
ヴェニュスがもどってきて、勝利を喜ぶ。プシシェを騙したことを自慢する。彼女は息子の愛にたいする改悛を懇願する。ヴェニュス拒否をし、プシシェを向こう見ずな女として罰すると誓う。プシシェは許しを請い、結局ヴェニュスは、もしプシシェが地獄を巡って、美の秘密が閉じ込められているプロゼルピーナの箱を持ち帰ってくるという仕事をやり遂げたら、怒りを鎮めてもいいと言う。 プシシェは愛する男を失ったことで失意のあまり歎き悲しむ。ヴェニュスから与えられた課題の困難さにがっかりしつつも、彼女は河に飛び込んで溺れる決心をする。河の神がとめるが、プシシェは彼に自分の状況を説明する。彼は助けを申し出て、彼女とともに水中に消える。

第四幕

プロゼルピーナの宮殿
プシシェは地獄の世界を見て恐怖するが、この怖ろしい場所でさえも愛の神の存在が感じられると心に思う。彼女は醜い悪魔たち、三人のフリアイたちが行く手を阻むのにでくわす。プシシェはプロゼルピーナに会わせてくれるように懇願すると、最後には女王の到着が知らされる。この間、彼女は地獄の最も怖ろしい姿を彼女に見せることで彼女を苦しめる。
地下世界の二人のニンフが現れ、悪魔たちにプシシェを通してやるように言う。メルキュールが愛の神の伝言をもってプロゼルピーナのところに送られてきたので、ヴェニュスが彼女に何を要求したのかも分かっていると言う。彼女はプロゼルピーナの箱をプシシェに与え、悪魔たちにプシシェの出発の邪魔をしないように命じる。

第五幕

ヴェニュスの庭園
プシシェは愛の神が自分を助けに来てくれたことを確認してほっとする。彼女は彼が宮殿にいて、彼女のためにヴェニュスに仲介をしてくれるのだと想像する。だが地獄巡りが自分の姿を変えてしまって、愛の神はもう自分を魅力的だと思ってくれないのでないかと心配になる。彼女は自分の美しさをもっと輝かせるためにプロゼルピーナの魔法を使おうと決める。彼女が箱を開けると、蒸気につつまれて、失神してしまう。
ヴェニュスがやってきて、ライバルの姿を楽しむ。プシシェは愛の神に助けを呼ぶが、ヴェニュスは復讐を楽しむ。メルキュールが入ってきて、ヴェニュスの嫉妬を非難する。彼はジュピテルが愛の神に加担したこと、この間にも地上と天上が愛の神の不在で混沌の中で暗くなりつつあることを知らせる。ヴェニュスは弁解する。
ジュピテルがやってきて、仲介をする。ヴェニュスは息子が人間と結婚することを拒否して自己弁護する。ジュピテルはプシシェを神にしようと答える。ヴェニュスはもはや二人の結婚に障害がないことを認めざるを得ない。プシシェと愛の神は一緒になって、ジュピテルはあらゆる神々を婚礼に呼んで、愛の神の栄光を祝福する。

ディスコグラフィ

Orchestra & Chorus of the Boston Early Music Festival
指揮/オデット&スタブス
カロリン・サンプソン(プシシェ)
カリーナ・ゴヴァン(ヴェニュス)
エアロン・シーハン(愛の神/アポロン)
コリン・バルツァー(ウルカヌス/メルキュール)

最初に戻る
年表に戻る
INDEXに戻る

inserted by FC2 system