『テゼ』

Thésée

台本/キノー
音楽/リュリ
ジャンル/悲劇
初演/1675年
再演/1688年98年
1707年20年29年
1730年44年54年
1767年79年

解説

リュリとキノーの音楽悲劇第三作目となる『テゼ』は前二作に比べると、イタリア・オペラと同じように要所要所に主要な人物のモノローグが配置され、一旦レシタティフによる物語展開をとめて主要人物の情感を歌う場面が作られている。とは言っても、このモノローグが、イタリア・オペラのアリアのように内面の情感を訴える音楽になっていない点が、この作品の特徴である。イタリア・オペラすでに1650年くらいにはレチタティーヴォとアリアの役割分担がはっきりと分かれていたというから、リュリがそのようなシステムを利用してもおかしくはないのだが、詩の上では、そうした特徴をもった詩を書かせているが、音楽上はそういうものになっていない。

プロローグ

舞台はヴェルサイユの庭園と宮殿のファサード。愛の神、グラティアエ、喜びの神々、遊びの神々たちの合唱が、この場所の主は戦争のために喜びをなおざりにしていると不満を歌い、この場所を立ち去る決心をする。ヴェニュスが彼らを引きとめようとする。トランペットと太鼓の音が聞こえ、それに田園の楽器が加わる。マルスがベローヌ(戦の女神ベロナ)とともに現われ、なにもヴェニュスや愛の神を困らせることはないだろうと約束するが、ベローヌを戦に送る。ヴェニュスは不安になるが、マルスは国王は勝利するだろうと言って安心させる。バッキュスとセレス(豊穣の女神ケレス)がシルウァヌスや巫女たちに伴われて登場し、キューピッドたち、グラティアエたち、喜びの神々や遊びの神々を呼び集める。収穫者たちがセレスの周りで踊ると、彼女は歌い始め、バッキュスも歌って、ディヴェルティスマンになる。

第一幕

舞台はアテネの、ミネルヴァの神殿。戦闘している兵士たちの声が聞こえるが、姿は見えない。アテネ国王のエジェ(アイゲウス)の庇護のもとにおかれているエグレがミネルヴァの助けを求めにくる。エグレは、彼女の愛しているテゼが、国王エジェの王座を狙う反乱者たちと戦って勝利することになるだろうかと、クレオーヌに尋ねる。クレオーヌはそのことについては何も知らないが、テゼ(テセウス)がエグレを愛していることは確かだと言う。アルカスがやってきて戦闘が続いていること、国王がエグレのことを心配していると伝える。エグレはアルカスにテゼの消息を聞く勇気がないので、クレオーヌに調べに行くように頼む。クレオーヌは恋人のアルカスに、自分を愛しているのなら、戦が決するまでテゼについていて、彼の消息を知らせてくれるように頼む。アルカスはクレオーヌが理由を言わないので、心変わりしたのかと嫉妬する。女神官長がやってきて、ミネルヴァに懇願する。国王エジェがやってきて、反乱の平定を予告する。国王のエジェはエグレに結婚のプロポーズをする。驚いたエグレは彼を尊敬はしているがと言い、エジェと誓約で結ばれているはずのメデ(メディア)が激怒するのではないかと尋ねる。メデとは彼の息子を結婚させるつもりだと言う。女神官長のもとでみんながミネルヴァに感謝を捧げているところへ、兵士たちが敗走した反乱軍の軍旗や戦利品を持ってきて、勝利を知らせる。

第二幕

舞台はエジェの宮殿。メデは、従者のドリーヌとともに、愛によって罪人になる自分の宿命を嘆いている。ドリーヌはテゼと新たな人生をやり直すように勧める。アテネ国王エジェがやってきて、勝利のために助力してくれたことでメデに礼を述べ、婚礼の誓約のことを持ち出す。エジェがトレゼーヌに匿っている息子をメデの夫とすることを考えていると話すと、メデは自分が愛しているのはテゼだけだから、どうぞ好きなようにエグレを妻としたらいいと話す。二人ともこの解決策に満足する。アルカスがやってきて、民衆が次の国王にテゼを宣言することを要求していると知らせる。アルカスと付き合っているドリーヌはこの機会を使って、アルカスとクレオーヌの関係を問いただすが、アルカスはごまかして立ち去る。テゼを連れてきた民衆が歌い、踊る。テゼがもたらした勝利を歌い、次の国王にテゼを要求する。テゼは彼らに礼を言い、彼らを解散させる。テゼが国王の住居に入ろうとしたところでメデに出会い、メデは国王へのとりなしを彼に約束する。テゼはエグレを妻とすることが唯一の望みだと告白し、メデを失望させる。一人になったメデは、嫉妬に激怒し、復讐を誓う。

第三幕

舞台は第二幕と同じ。エグレはテゼが会いに来てくれるのを待っているが、本当に来てくれるのかどうか不安でならない。そこへアルカスが来て、国王とエグレの婚礼を間近に行うという知らせが伝えられる。メデがやってきて、エグレに国王と結婚するように勧めるが、エグレが断り、国王とはメデが結ばれれはいいではないかと言うので、メデはエグレにテゼとのことを話せと迫る。エグレがテゼを深く愛していることを知ると、メデは激怒して、どんなことがあっても二人を引き裂いてみせる、メデの力がどんなものか思いしれとすごむ。
舞台が突然変わって恐ろしい怪物たちのいる荒涼とした場所になる。エグレたちは恐怖に恐れおののく。メデが登場し、クレオーヌとアルカスは無関係だと出て行かせる。メデは地獄の住人たちを呼び寄せ、メデに大変な苦しみを与えたエグレを恐怖と絶望に突き落としてやれと命令する。彼らはエグレに襲いかかる。

第四幕

エグレはメデに止めてくれるよう懇願するが、それでもテゼを愛することを止めるとは言わない。それに激怒したテゼは、眠れるテゼを亡霊たちに連れてこさせる。メデは片手に燃え盛る薪、片手に短剣をもつ復讐の女神たちを呼ぶ。テゼを諦めないと、眠ったままのテゼがエグレの目の前で犠牲に供せらせるぞと脅かす。エグレはテゼのために国王と結婚することを認める。
舞台が変わり、魔法の島になる。メデがテゼの目を覚まさせると、テゼは自分が壮麗な服を着ているのをみて、剣を返してくれるようにいう。メデは剣を取りに行くために座をはずす。テゼはエグレに気づくが、なぜ彼女が目を逸らすのかが分からない。メデはテゼにエグレが王座に目がくらんでテゼを捨てたと思わせる。テゼががっかりしたというと、エグレはテゼを救うために国王と結婚することにしたと打ち明ける。それを聞いたメデが突然現われ、激怒する。エグレとテゼは互いに相手を助けてくれるように懇願する。それを見たメデは彼らの幸福に手を貸すことを決心し、テゼに剣を返す。魔法の島の住人たちが呼ばれ、ディヴェルティスマンになる。

第五幕

舞台はメデの魔法が現した宮殿。嫉妬に狂ったメデはライバルに復讐を決心する。メデは祝典の準備ができたこと、国王がテゼを後継者として選んだことを知らせに来たドリーヌに復讐の計画を明かす。メデはテゼに毒を盛るように国王に提案する。国王は躊躇するが、とうとう説得に成功する。一同の前で国王がテゼを後継者としたことを公表し、儀式を行うために、テゼに毒入りの杯が渡される。テゼがそれを口に近づけようとしたその時に、国王はテゼの剣を見て、テゼが自分の息子であることに気づき、間一髪でテゼが毒入りの杯を口にすることはなかった。それを見たメデは逃亡する。国王は息子のために愛するエグレを断念し、二人を結びつける。メデが龍に曳かれた車で現われ、復讐はまだ終わっていないと脅かし、宮殿を破壊し、恐ろしい闇に包まれるが、ミネルヴァが現われ、壮麗で輝かしい宮殿を建てる。一同が歌やダンスで喜びを表す。

ディスコグラフィ

Orchestra & Chorus of the Boston Early Music Festival
指揮/オデット&スタブス
テゼ/ハワード・クルック
メデ/ローラ・パドウェル

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