『愛の神の勝利』

Le Triomphe de l'Amour

台本/バンスラード&キノー
音楽/リュリ
ジャンル/バレ
初演/1681年

解説

『ミューズたちのバレ』から15年後、ルイ14世はバレ・ド・クールの伝統を復活させたいという考えを表明した。王太子とマリ・アンヌ・ヴィクトワール・ド・バヴィエールとの結婚がこのジャンル再生の口実となった。
この作品のためにルイ14世の数人の子どもたちが舞台に上がることになった:王太子、ヴェルマンドワ夫人、コンティ姫、ナント嬢(8歳)である。老齢のバンスラード(1613-91で、当時68歳)が登場人物たちの台詞を執筆するために再び呼ばれた。だが詩の大部分はキノーの作品である。
 『愛の神の勝利』はしばしば18世紀に大成功を収めることになるオペラ=バレの始まりと見なされている。実際のところ、声楽部分がバレの重要な部分になっているからである。
 このバレは1681年1月21日にサン=ジェルマン・アン・レイで初演され、1681年5月10日からパレ=ロワイヤル劇場で再演された。ジャン・ブランによって考案された機械仕掛けは、初演のときに宮廷の夫人たちが主に演じた役のためにオペラ座が雇った多数のダンサーともども、センセーションを呼んだ。

あらすじ

ヴェニュスがこの心地よい祝祭を始める。彼女は、平和は息子の栄光を輝かせるための時期だということを知らせたいのである。彼女はグラティアエ(古代ローマの三美神)、喜びの神々、ドリュアデス(木の精であるニンフ)、ナイアス(川や泉のニンフ)に、自分と一緒に愛の神の勝利の喜びに加わってくれるように頼み、みんなを誘って人間と神々に勝利したこの神を称える。
 グラティアエ、ドリュアデス、ナイアス、喜びの神々はヴェニュスに付き添う。
 愛の神の力に屈せざるを得ず、彼に最も反発してきた神々は彼らの敗北を認め、この神の勝利に花を添えることを余儀なくされる。
 武器を持ち、戦士の一団を引き連れたマルスは怒っているようで、自分は戦闘や血や殺戮しか好きになれないと述べる。
 マルスは愛の神たちの一団に取り囲まれて、戦士たちは彼から遠ざけられてしまう。この子どもの愛の神たちはこの恐ろしい戦の神から武器を取り上げ、その武器をおもちゃのようにして遊びだす。この子たちは花を鎖状に編んだものでマルスをぐるぐる巻きにして、彼らの勝利を祝って踊る。
 海の神々とネレイデスたち(海の女神たちで,海神ネレウスの娘たち)がネプチューンの幸福を喜びにやってきて、踊りでその喜びを表す。
 氷と氷霧に覆われ、冷たく凍りつくような風を引き連れたボレアス(北風の神)が、自分は愛の神の火にも大丈夫だと思うと述べる。引き連れている風たちを隠れさせ、娘たちの一団とともに踊りを楽しみにやってきたアテナイ国王の娘オリティアを観察するために引き下がる。ボレアスはオリティアに近づく。まったく冷たいのに、彼はオリティアに対する愛に燃え上がる。アテナイの娘たちはオリティアの周りに並んで、彼女を守ろうとする。ボレアスについている風たちがアテナイの娘たちを遠ざけ、ボレアスがオリティアをさらえるようにする。
 狩人の服を着たディアーヌが歌って、自分は愛の神の力を軽蔑しているという意思表示をする。
 ディアーヌのニンフたちは踊って、愛の神の与える苦しみから逃れており、自由の甘美さを味わっていることの喜びを表す。
 エンディミオンがディアーヌとニンフたちに近づく。非常に態度のつれないこの女神はニンフとともに逃げようとするが、どうしてもエンディミオンを見ずにはいられず、彼に愛を感じていることに混乱し、引き下がる。
 夜の女神が大地を暗くしにやってきて、全自然に休息の甘美さを味わうように誘う。多数の楽器が甘美なハーモニーを形成すると、それが夜の女神の声と混ざって調和する。神秘の神が夜の女神を探しにやってきて、秘密の愛を育てようと誘う。愛の神に負けて、そのことを恥じているディアーヌは夜の女神に助けてくれと懇願する。ディアーヌが引き下がる。
 夜のあいだ自分たちを照らしてくれる女神がもはや天にいないことに驚いたカリア(小アジア)の民衆たちが叫んだり、青銅器の音で女神を呼びもどそうと努める。
 バッキュスは、世界の最も大きな部分を自分の王国とし、インドを征服して民衆を自分の法に従わせた後、愛の神の力に屈せざるをえなくなり、アリアーヌを一目見た瞬間に恋してしまった。バッキュスに従っていたインドの民衆は愛の神の力を畏敬する。
 メルキュールが愛の神賛歌を歌い、かくも強力な勝利者の支配に自ら進んで従おうとみんなに呼びかける。
 神話に伝わる羊飼いたちの一団を率いたアポロンは勝利した愛の神についていかねばならない囚われ人たちのなかに登場する。
 西風の神がフロールを導いてくる。フロールのニンフたちはゼフィロスたちに導かれてくる。彼らは勝ち誇った神の行く手に花を咲かせ、この祝祭の喜びに加わる。フロールのニンフの一人が、ゼフィロスたちやフロールやニンフたちのダンスの中で歌う。
 愛の神が登場する。この勝ち誇った神は、彼が自分の法に従わせた神々や英雄たちに運ばれてくる。彼は、王座のようなものに座って担がれている。それに最も偉大な神々が使う武器が付けられている。それにはジュピテルの雷、ネプチューンの三叉槍、マルスの盾と剣、ディアーヌの弓、アポロンの矢、バッキュスの杖(チュルソス)、ヘラクレスの棍棒、メルキュールの杖である。この小柄な神は力の大きさで喝采を受け、みんなに勝利するという栄光を享受する。
 若さの女神が遊びの神々に付き添われて、愛の神のあとに従う。ゼフィロス太刀とフロールのニンフたちの一部は若さの女神や遊びの神々と一緒に踊る。
 天が開け、異常なまでに輝く光に照らされる。それはこの壮麗なスペクタクルの舞台となっている場所まで広がる。
 ジュピテルが王座に座っている。彼はこの素晴らしい祝祭を祝うために天上に参集した世界の最もめざましい神々を引き連れている。ジュピテルは愛の神を最も力のある神と認める。天の神々、地上の神々、地獄の神々が人間たちの声と彼らの声を一つにする。二つの合唱が一つになってジュピテルの歌詞を繰り返す。そして彼らが勝ち誇った神への賞賛を歌っているあいだ、アポロン、神話の羊飼いたち、パン、牧神たち、ゼフィロスたち、フロールのニンフたち、遊びの神々が一緒に踊る。愛の神の勝利の祝典はこうして一堂の歌と踊りで終わる。

ディスコグラフィ

ACCORD 476 1053
オーケストラ/ラ・サンフォニ・デュ・マレ
指揮/ユゴ・レーヌ
ヴェニュス,ディアーヌ/フランソワーズ・マセ
夜の女神/ジュリ・アスレ
フロールのニンフ/ソフィ・ランディ
愛の神/クララ・ジョルジェル=ドゥランシュ
メルキュール/ルノー・トリパティ
ネプチューン/フィリップ・ロッシュ

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